岩田修二の市議会ニュース


2007年10月


 9月12日午前、衆議院本会議代表質問が数時間後に迫っていた頃、安倍晋三さんが突然総理大臣をやめたいと言い出しました。それまでの安倍さんは、参議院選挙で自民党が大敗したにもかかわらず、自分の政策は支持されている、これからも「美しい日本」づくりにまい進すると強弁を繰り返し、引き続き総理大臣を務めていくことを宣言していました。

 あっと驚く退陣劇。しかも、参議院選挙後に内閣改造を行い、臨時国会での所信表明演説までやった後のこと。一国の総理として、まったく無責任としか言いようがなく、嫌になったらいとも簡単に「日本」を投げ出してしまう、まさしく世間のことをしらなすぎる、「良いとこのお坊ちゃん」だったんです。

その後の総理大臣を決めるために2週間近くも国会が開かれない状態が続きました。新たに総理大臣に選出された「福田康夫」さん。マスコミは、自民党派閥の談合によって選ばれた「古い自民党」体質の再来と報じています。

いずれにしろ、当面は私たち国民に安心を約束してくれる政治を望まずにはいられません。

 

 

9月定例議会の報告 

 

 須坂市議会9月定例会は、9月4日から10月5日までの32日間開かれました。提案された議案の主なものは、条例改正案、一般会計等の補正予算案、平成18年度一般会計ほか各種特別会計等の決算認定でいずれの議案も原案の通り議決、認定されました。

 

決算認定に決算特別委員会を設置

会派代表による総括質疑を行う

 議会活性化委員会での協議を経て、今定例会に議長と議会選出監査委員を除く議員による決算特別委員会が設置されました。決算特別委員会の設置は、昭和47年以来35年ぶりになります。

 特別委員会では、まず、執行部から決算の概要について説明を受け、改めて一般質問終了後に初めての試みである、会派の代表による「総括質疑」が行われました。この「総括質疑」については、執行部側からは「一般質問」の延長のようだ、との声も聞かれ、今後改善を望む意見も出てくることが予想されます。

議会側は、会派代表による質疑としたため、今まで議員個人の感覚で決算について一般質問で取り上げていたものが、会派で事前に勉強しなければならなくなり、議員個々のレベルの向上につながるものと、歓迎する意見が多く聞かれています。

決算特別委員会の運営については、現議員では初めてのことであり戸惑うことも多くあったことから、今後も議会活性化委員会で議論を重ね、より良い運営方法を見つけ出すことになります。

 

平成18年度決算の状況(一般会計)

歳入合計  1976,662万円

歳出合計  1907,032万3千円

差引額    69,6297千円(実質繰越額51,1147千円)

歳出の内訳                 (単位:決算額 千円  前年比・構成比 %)

性 質 別

決算額

前年比

構成比

前年構成比

説   明

消費的経費

人件費

4,456,978

99.47

23.37

24.39

給料・報酬・退職金等

物件費

2,315,733

97.55

12.14

12.92

備品購入費等

維持補修費

161,519

76.69

0.85

1.15

施設管理・補修等

扶助費

1,981,818

104.17

10.39

10.35

生活保護・福祉給付金

補助費

1,099,564

90.90

5.77

6.58

団体・事業の補助金

小計

10,015,612

98.41

52.52

55.39

 

投資及びその他

普通建設事業費

2,473,769

132.79

12.97

10.14

耐震補強・道路工事等

公債費

2,442,052

97.89

12.81

13.58

借入返済・利子

積立金

487,871

175.56

2.56

1.51

基金への積立金

投資及び出資金

54,130

106.07

0.28

0.28

 

貸付金

1,370,100

92.55

7.18

8.06

 

繰出金

2,201,365

108.55

11.54

11.04

特別会計への支出金

小計

9,029,287

103.53

47.34

44.61

 

合    計

19,070,323

103.80

 

 

 

※平成18年度は他に災害復旧費25,425千円支出

本当に厳しい財政状況なのか? 選択と集中とは何か?

平成17年度決算と比べて、収入は9億8千万円増、支出は7億2千万円増となっています。単純に計算すると2億6千万円ほどが余りとなっています。それが、繰越金と積立金の増加につながっています。また、義務的経費といわれる必ず支出しなければならない経費(人件費、公債費等)は、年々減少傾向にあります。

「ハコ物行政」が決して良とはしませんが、厳しい財政状況だから「選択と集中」「あれか、これか」といい続けていながら、貯金をドンドン増やし借金を減らしている。何が選択され、何が「あれ」「これ」の事業なのか大いに疑問は残ります。

岩田修二の一般質問と答弁  要旨

 

●市民の命を守る施策について(市長答弁)

質問 須坂病院の産科休止問題について、市としてどう対応されるのか。

答弁 医師不足の問題は、一自治体では解決できない問題。あらゆる機会を通じて、国、県の対応策が進められるよう要望していく。また、市民に医師の情報提供をお願いしていく。

質問 救急患者の受け入れ態勢は万全か。

答弁 救急車の搬送先は、県立須坂病院、轟病院、小布施町の新生病院となっている。患者の状況により長野市又は中野市の指定病院に搬送している。また、18年度より須高医師会、須坂病院の協力で救急診療体制を整備していただいている。

質問 市民健康診査受診率向上に向けた対策は。

答弁 須坂市の受診率は決して悪くない。健診は疾病の早期発見、治療のためにも大切なもの。市報や保健補導員を通じて受診率の向上に努めていく。

質問 ガン検診等受診者のうち精密検査該当者への対応は。

答弁 本人に医療機関等の情報を郵送し、精密検査の受診を促している。また、保健師を通じて電話連絡もしている。

 

●同和対策事業について(市民生活部長答弁)

質問 部落差別は何の根拠もない被差別部落に生れたから、そのことだけで差別される。そんな理不尽なことがあって良いのか。須坂市における部落差別の実態は。

答弁 平成15年に結婚差別事象が発生、現在も問題解決の取り組みをしている。平成16年には家庭内差別発言事象が発生している。

質問 各種の研修会や学習会で市民の意識は変わってきているか。

答弁 参加者の感想文やアンケートを見ると、人権同和問題を自らの問題としてとらえ、差別解消のために行動しようとする人権意識の高まりが徐々に現れている。

質問 町別人権同和問題学習会は定着しているが、マンネリ化の意見もある。課題をどのように分析しているのか。

答弁 受身の学習から、「自ら学ぶ」学習により、自分自身の課題として取り組める雰囲気作りに努め、参加してよかったと思えるような学習会をめざしている。

 

●危機管理意識について(市長答弁)

質問 市長、副市長が同じバスに乗って県外に視察に行くことは、危機管理意識が欠落してはいないか。

答弁 須坂市では、日常的に総務部長以下の職員も危機管理体制を整え、情報伝達等に配慮している。今後も重大な案件については副市長にも同行を求めることがある。

 

●財政について(総務部長答弁)

質問 平成18年度決算を踏まえて、「厳しい財政状況」といわれる根拠は何か。

答弁 市民1人あたりの税収は、県内19市中多いほうから18番目で、税収の少なさが財政基盤の弱さを表している。決算において健全な財政運営となったことは、収入の確保と歳出の削減に取り組んだ結果であり、財政状況が依然として厳しい状況であることは変わらない。

小・中学校通学区域の弾力化は白紙

 

 教育委員会では、市民から通学区にこだわらず近くの学校へ通学させたい、須坂小学校の児童数減少に対応してほしいとの要望があり、昨年9月懇話会を設置して検討を進めてきました。この懇話会からの提言を受けて、通学区の変更ではなく「弾力化」について、当該の学校での説明会や地域づくり市民会議で、PTAや地域の皆さんに説明して意見を求めていました。

 弾力化に懸念を持つ市民の意見の主なもの

  ・町が二つに割れてまとまりがなくなる。

  ・PTA・育成会活動が二分化されてしまう。

  ・町のコミュニティがこわれてしまう。

  ・町の役員が対応できなくなる。

  ・旧村単位の小学校の歴史や特色を守ってほしい。

  ・親と子の判断に任せるといわれても、中途半端で子どもの気持ちが揺れ動いてしまう。

  ・もう少し時間をかけてじっくり取り組んでほしい。

 教育委員会では、これらの意見を参考に「今後の方向性と対応」として

 1 児童数の減少に伴い、学校の統合も含めた適正な通学区の再編に向けてスケジュールを組み立て、須坂市全体として、一歩一歩対応していくことが必要。

 2 弾力化を実施する前提として、説明会でいただいた貴重な意見を十分に勘案し、今後の開かれた学校生活に向け、柔軟な対応を図るべきと考える。

として、小・中学校通学区域の弾力化の提案については白紙とすることになりました。

 

須坂病院産科休止問題

国と県に対する意見書2件を採択

 

○ 長野県知事宛  長野県立須坂病院の産科医師確保等を求める意見書(抜粋)

 1 長野県の責任で早期に産科医を確保し、県立須坂病院の分娩業務の再開を図ること。

 2 県立須坂病院に設置されている「県民医療室」の充実を図り、長野県全体の医療従事者の確保を図ること。

 3 長野県が中心となり医療関係機関と協力し、医療過誤の被害者の公的救済制度を創設すること。

 4 産科医の負担軽減を図るため、助産師外来を開設すること。

 

○ 国の関係機関宛  安心できる医療体制確保のため、産科医師をはじめとする医療従事者の確保を求める意見書(抜粋)

 1 医学部定員削減の閣議決定を撤回し、医師を抜本的に増員すること。

 2 医科系大学医学部推薦特別枠の増員を図り、地元で働く医師の育成を図ること。

 3 医療過誤の被害者の公的救済制度を創設すること。

 4 看護師等の医療従事者の確保のため、過酷な労働条件の改善を図るとともに、退職看護師等の再就労を支援すること。


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