岩田修二の市議会ニュース   2008年7月


 75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」が4月からスタートしました。そして、保険料の年金からの天引きが4月15日に早速行われました。年金の支払通知を見て多くの皆さんは「何だ、これは」と思ったのではないでしょうか。須坂市には4月14日〜18日までの一週間に約120件の問い合わせがあったと報告されました。受け取る年金額が1年間で18万円以上(月1万5千円以上)の人は、保険料が年金からいや応なく天引きされます。国は、「支払のお手間をおかけしません」と言っているようですが、自分で納得して支払を口座振替にするのと年金から天引きされるのとではまったく意味が違います。

 この医療制度の一番の狙いは、医療費が一番かかる75歳以上の高齢者と65歳〜74歳で一定の傷害のある人たちを別枠にして、他の健康保険と切り離し、負担と給付を明確にすることで医療費の伸びを抑えようとするもので、まさに「排除の論理」での医療制度です。

 増加する医療費の伸びをどうするかは避けて通れない課題です。しかし、医療費抑制を目標として医療政策を推し進めていくことは非常に危険で、そのツケが、医師・看護師不足、患者のたらい回し、無保険者の急増などとなって現れているのが現状です。

 国は「後期高齢者医療制度」に対し、様々な方面からの意見を取り入れ、保険料の軽減措置の拡大などその場しのぎのやり方で、制度を軌道に乗せようとしています。しかし、多くの批判が集中しているこの制度は一旦廃止し、いつでも誰でも、どこでも平等に医療が受けられる持続可能な医療制度を確立すべきではないでしょうか。


6月定例会の報告


須坂市議会6月定例会は、6月3日から24日までの21日間開かれました。提案された議案の主なものは、高橋町で行われた「郷原土地区画整理事業」に伴う市道の認定、変更の事件決議議案、「信州須坂ふるさと応援基金条例」の制定他条例改正案6件、一般会計等の補正予算案3件等、いずれも原案のとおり議決、認定されました。また、任期満了に伴う農業委員の議会推せん委員については、女性3人を推せんすること決まりました。


土地開発公社、文化振興事業団、湯っ蔵んど、須坂温泉決算状況の説明

土地開発公社 純利益 709,849円
文化振興事業団 繰越額 56,174,309円
湯っ蔵んど 純利益 74,747円
須坂温泉 純利益 75,510円


 法律の規定により、須坂市が設立した土地開発公社、須坂市が資本金などを半分以上出資している法人や株式会社については、毎年その経営状況を説明する書類を作成し議会に報告しなければならないことになっています。須坂市は「湯っ蔵んど」に75%、「須坂温泉」に約51.3%出資していることから、毎年6月議会にその経営状況が報告されています。

 このうち「湯っ蔵んど」の経営状況が毎年気になるところです。決算書類によると、利用者数は対前年比102%の308,453人、売上高は対前年比95.4%の2億8,881万円となっています。3年前約5千万円でリニューアルしたにもかかわらず、売上高の減少に歯止めがかかっていません。各種イベントの開催や、経費の削減等の営業努力は認めるところですが、そのことが入館者へのサービス低下につながっているのではとの声も聞こえてきます。また、回数券売上が入館料の約41%を占めていることが、今後の収支にどのような影響を及ぼすのか危惧されます。



市税条例の一部を改正する条例

65歳以上の個人住民税を年金から天引きへ

平成21年10月から

省エネ改修工事をした住宅の固定資産税減額制度の創設  他


 市の条例や予算関係等の議案は議会に提案され、審査を経てから執行するのが通常ですが、特に緊急を要する事項など、議会を開く余裕がない時には、市長は議会に諮らないで「専決」という方法で執行することが認められています。

今回の市税条例の一部改正は、「地方税法」の成立が4月30日となり、条例改正が3月議会に間に合わなかったための措置との報告でした。

改正の主な内容は、国が考え出したいわゆる「ふるさと納税」(寄付金控除)についての規定を改正したこと。65才以上で個人住民税を納めている人の税金を、平成21年10月から公的年金から天引きすること。証券税制についての改正となっています。また、固定資産税についても、新築住宅に対する固定資産税の減額特例の延長。省エネ改修工事を行った既存住宅の固定資産税減額制度の創設などの改正が行なわれました。

住民税の年金からの天引きについては、介護保険料、後期高齢者医療保険料に続く年金からの天引きになり、国で決まったことでは片付けられない怒りさえ感じます。



 岩田修二の一般質問と答弁   要旨

 

●福祉施策の充実について(健康福祉部長答弁)

質問 障害者自立支援法はスタート当初から、@1割負担の導入A単位制の導入B介護保険よりも低い介護報酬の設定C食費の自己負担の導入D新介護保険法の下での介護保険優先に基づくサービス提供の制限等多くの問題点が指摘されている。法施行後の障害を持つ世帯の状況がどのように変わったのか把握しているか。

答弁 個々の世帯への支援については、障害者支援センター、事業所及び関係機関と連携しながら、ケア会議等開催する中で対応している。

質問 法施行後の施設の状況等を検証すれば、須坂市独自の支援策が必要ではないか。

答弁 ある程度の負担軽減を図っているし、市内3障害4団体連絡会の要望も受け入れているため、新たな支援策は特に考えていない。障害者自立支援法は3年目に見直しを行うことになっているため、意見等は市長会を通じて国へ要望していきたい。

 

●子どもたちに係わる施策について(教育次長答弁)

質問 次世代育成支援行動計画は3年経過したが、計画の達成状況はどの程度か。

答弁 平成19年5月に計画の推進について協議する「次世代育成支援対策地域協議会」としての「子育て・子育ちを語る広場」を設置した。その場での意見・要望などで「ファミリーサポートセンター設置」「妊産婦健診の公費拡大」を実施した。

質問 保育園の耐震診断を計画的に実施するつもりはあるのか。

答弁 耐震診断を実施することは必要と考えている。統合及び民営化計画の対象になっていない園の中から建物の状況や財政状況等を考慮する中で実施していく。

 

●放課後児童対策(教育次長答弁)

質問 放課後子どもプランの目的は、地域社会の中で子どもたちが安全で健やかな居場所づくりを推進するため、文部科学省と厚生労働省とが連携して実施する総合的な放課後対策となっている。この際全ての児童クラブ、児童センターで放課後子どもプランを立ち上げるべきだ。

答弁 地域児童クラブが定着していること、学校の余裕教室も少ないことや運営スタッフ、経費の問題等があり大変難しい。

質問 全ての児童を対象にして、放課後に学校の体育館、校庭ぐらいは開放すべき。

答弁 学校施設を利用する際の安全の確保や事故防止等、実施するうえで問題がある。子どもたちにとっては、帰宅し自宅で過ごすのが最良の環境であり、望ましい姿と考えている。

 

●須坂駅前高層マンション建設計画について(まちづくり推進部長答弁)

質問 旧中木村製作所跡地に15階建て高層マンション建設計画が進められており、近隣住民は不安を募らせている。計画に対する市の基本方針は。

答弁 商業地域として用途地域が決定されている土地であり、現段階では高さを制限するような指導はできない。

質問 近隣住民の利益を守るための対策は何か。

答弁 地域の健全な近隣関係や良好な生活環境の保全が必要と考えている。地域の皆様の要望に対し誠意をもって対応していただくよう建築事業者に指導していく。



須坂市条例として「建築物の高さ30メートル以下の制限」

      を制定することを求める請願

     経済建設委員会、本会議とも不採択


 須坂ハイランド町区長ほか近隣の区長連名により請願が出され、経済建設委員会で審査が行われました。最初に4人の紹介議員を代表して、@事業者の説明会が2度開催されたが、近隣住民の話を聞く姿勢にはないA適法に進められているとの主張を繰り返すのみB請願の趣旨は日影、景観の問題で高さを制限してほしいとの要望等理由から、請願に至ったことを説明しました。

 請願に対する須坂市の見解は、商業地域として用途指定している場所であり、高さ制限及び日影規制のない地域。したがって、現段階において、市として計画されている高さを制限することはできない。というものです。

 委員会の審査で委員からは、周辺住民との話し合いを更に進める必要がある事や、市条例を制定するには難しい課題もあることから、継続審査としたい。という意見と、継続審査は問題を先送りするだけ。総合的に判断し、請願は不採択としたい。との意見が出され、採決の結果2対3で継続審査は否決され、委員会審査では不採択となりました。

 議会最終日の本会議に、「委員会へ再付託のうえ、継続審査を求める動議」を提出しましたが、賛成者5人で否決となり、請願そのものも不採択となりました。

 この請願については、4人の紹介議員のうち最後まで「採択」を主張したのは2人でした。本来紹介議員は、請願の趣旨に賛同しその目的達成のために協力するのが普通ですが、所管の委員会に紹介議員が2人もいたにもかかわらず、このような結果になったことは残念でした。



松川霊園増設へ計画示される

平成23年度使用開始を目標


 6月17日の福祉環境委員会に、生活環境課より「松川霊園増設計画」について説明されました。

 霊園増設計画については、これまで候補地選定を含めた調査費が2度予算計上されましたが、いずれも候補地の選定に至らず、予算が減額されていました。今回計画が示された松川霊園についても、当初の説明では、国の補助事業で整備した農業振興地域に含まれているため、一定期間経過した後でなければ、別の事業はできないとされていました。

 しかし、担当課で再度長野県へ問い合わせたところ、「市直営事業であれば問題なし」との回答が得られたため、霊園増設計画を進めることになりました。

 霊園造成に向けてのスケジュール(案)

 平成20年度 増設範囲等基本計画の作成、地元説明会

 平成21年度 実施設計、用地交渉

 平成22年度 造成工事

 平成23年度 使用開始


戻る