岩田修二の市議会報告   2008年10月

    9月12日午前、衆議院本会議代表質問が数時間後に迫っていた頃、安倍晋三さんが突然総理大臣をやめたいと言い出しました。 (中略) 一国の総理として、まったく無責任としか言いようがなく、嫌になったらいとも簡単に「日本」を投げ出してしまう、まさしく世間のことをしらなすぎる、「良いとこのお坊ちゃん」だったんです。

 以上は昨年10月の市議会ニュースに書かしていただいた文章ですが、驚いたことに今年もまったく同じことが起こりました。9月1日安倍首相の後を引き継いだ福田首相が政権を放り出してしまいました。年金記録問題、後期高齢者医療制度、食の安全に関する様々な問題等何一つ解決しないでの政権の投げ出しは、まったく無責任そのもので、政権と一緒に国民への責任も放り投げてしまったばかりでなく、政権を担当する能力さえ失ってしまったと言えます。

  9月24日には新しい内閣が発足し、諸問題に取り組むとしていますが、すでに閣僚の一人が問題発言で辞任し前途多難を予感させています。小泉内閣時代からの構造改革路線が、国民間や中央と地方との格差の拡大を招いたことは明らかです。景気の低迷により、私たちの生活も疲弊しています。衆議院の解散総選挙が確実になってきていますが、真に国民の目線に立った安心のできる暮らしの実現をめざさなければなりません。

9月定例議会の報告

須坂市議会9月定例会は、9月2日から29日までの28日間開かれました。提案された議案の主なものは、条例の一部改正案、一般会計等の補正予算案、平成19年度一般会計ほか各種特別会計、企業会計の決算認定で、いずれの議案も原案の通り議決、認定されました。

昨年に引き続き決算特別委員会を設置

 平成19年度決算認定にあたり、昨年から特別委員会を設置して集中的に審査を行っています。今年は、正副議長、議会運営委員長、議会選出監査委員を除く16名で決算特別委員会を構成し5日間開かれました。


平成19年度決算の状況(一般会計)

収入合計  1904,3759,968円(前年比96.34%)

支出合計  186  2322,103円(前年比97.55%)

差引額    44,1437,865(実質繰越額43,8112千円)

支出の内訳                 (単位:決算額 千円  前年比・構成比 %)

性 質 別

決算額

前年比

構成比

前年構成比

説   明

消費的経費

人件費

4,453,363

99.92

23.94

23.37

給料・報酬・退職金等

物件費

2,404,673

103.84

12.93

12.14

備品購入費等

維持補修費

163,283

101.09

0.88

0.85

施設管理・補修等

扶助費

2,166,703

109.33

11.65

10.39

生活保護・福祉給付金

補助費

956,232

86.96

5.14

5.77

団体・事業の補助金

小計

10,144,254

101.28

54.54

52.52

 

投資及びその他

普通建設事業費

2,077,461

83.98

11.17

12.97

耐震補強・道路工事等

公債費

2,458,082

100.66

13.21

12.81

借入返済・利子

積立金

421,905

86.48

2.27

2.56

基金への積立金

投資及び出資金

56,630

104.62

0.30

0.28

 

貸付金

1,178,960

86.05

6.34

7.18

 

繰出金

2,265,030

102.89

12.17

11.54

特別会計への支出金

小計

6,380,607

97.33

45.46

47.34

 

合    計

18,602,322

97.55

 

 

 

 

 自治体の財政状況を判断するために様々な数値が用いられています。国では今年度から新たな指標の基準を設け、自治体財政が破綻しないよう早い段階から対策を進めるよう指導しています。幸い須坂市の財政状況は、数値的には健全といえます。しかし、経常収支比率(人件費、公債費、扶助費等必ず支出しなければならない費用の割合)が91.8%となっており、市独自の事業に回す費用の比率が少なくなってしまっています。ただ、このことは全国的な傾向になっています。

決算特別委員会で付帯決議を可決

 決算特別委員会の最終日、以下のような付帯決議が提案され全員一致で可決されました。昨年も同じような付帯決議が可決されており、執行部の早急な対応が望まれます。

1 当初予算で説明された新規・拡大・重点事業については、「事業実績並びに主要施策成果説明書」にその実績と成果を記載されたい。

2 事業実績並びに主要施策成果説明書に設けられている「事業の成果等」の欄に、事業の評価等を記載されたい。

3 一事業当り100万円以上の不用額について、その理由を明記した補足資料を提出されたい。

4 市主体の事業でなくても、市民との共創等による市の重要施策にかかる事業については、事業実績並びに主要施策成果説明書にその実績と成果を記載されたい。



岩田修二の一般質問   要旨


県立須坂病院について(市長答弁)

質問 医師確保のために、医師住宅の整備、職員のための保育施設、医学生のための奨学金制度等須坂市としてできることはないか。

答弁 県立病院という制約はあるが、院内保育所、ベビーシッターなどの利用補助、また、就業に関する支援など、須坂病院職員の希望などを参考にしながら十分検討していきたい。

質問 須坂市として、地域住民と須坂病院との信頼関係を構築する方策を、真剣に考えなければならないと思うが。

答弁 須坂病院では、クレームを分析し院内で改善を図っていると聞いている。風評で須坂病院の信頼を失うことのないように、住民の皆さんに信頼される病院、「開かれた病院」となるよう積極的に協力していきたい。

根子岳風力発電施設建設計画について(市長答弁)

質問 風力発電事業者への「事業見通しの照会」に対する回答の内容は、極めて不透明かつ不十分なものだ。市はどう対応していくのか。

答弁 事業者は事業を継続するとのことなので、今後も現地法人の立ち上げ時期、事業の見通し、事業主体と資金計画、収支計画、事業中止時等の事業終了後に原状回復できるのか等について早期に明示を求め、市民への説明も求めていく。

質問 須坂市として、早い時期に明確な方針を出すべきだ。

答弁 事業計画等も具体的に回答がない状況で、市としては総合的に判断する必要があることから、現時点では方針決定の時期は明言できない。

行政組織のあり方について(市長答弁)

質問 市長の教育行政についての基本姿勢について、見解を伺いたい。

答弁 生涯学習分野に関しては、教育委員会の所管とすべき強い事情があるとは考えていない。現在の生涯学習体育課で実施している業務全体について、もっと市長部局の関連業務と連携を取れるようにして、より効果の高いサービスを提供したい。

質問 社会教育・生涯学習部門を市長部局に組織替えしなければならない理由は何か。

答弁 組織替えすれば、今以上に事業の連携や効果的な実施ができる。限られた財源の中で、組織の肥大化を防ぎながら、効果的な行政サービスを提供するためにも、教育委員会と十分協議しながら、幅広い事業分野を抱える生涯学習体育課の業務は市長部局に移管し、教育委員会は子育てと学校教育に力を入れていく方向で考えている。

事務事業の進め方について(総務部長答弁)

質問 「推進役」は課長級とのことだが、「名ばかり管理職」ではないか。

答弁 市が課題として取り組んでいる事業について重点的に取り組み、あるいは事業を強化していくため設置したもの。

質問 竜の里マラソンに、須坂市とは直接関係のない現職の政治家を招待した理由は。

答弁 17回大会から毎年参加していただいている。平成16年に参議院議員に当選したが、JOC委員でもあることから招待した。無報酬で参加いただいている。


どう思う
生涯学習部門を市長部局へ

須坂市では、生涯学習体育課に関係する業務一切を教育委員会から市長部局へ移そうとする議論がすすめられています。

そのねらいは、市民と行政の共創を進めるために、市民と共に歩む生涯学習・社会教育の手法を生かすことを目的とする。共創による総合的なまちづくりの柱に生涯学習・社会教育の考え方を基本にすえ、行政内と市民に生涯学習を推進する。としています。

また、移管のメリットとしては、市民生活、健康づくり、福祉、まちづくり、産業振興といった事業の情報は格段に入手しやすくなる。また、生涯学習体育関係事業の情報も、市長部局の各担当に入りやすくなる。情報が頻繁に行きかうことで、事業の連携や効果的な実施がしやすくなる。と説明しています。

 

中央教育審議会での議論は

教育機関を管理する責任は、

首長から一定の独立性を持った機関が負うべき

 

 文部科学省の機関である、中央教育審議会教育制度分科会地方行政部会で、平成17年1月に「地方分権時代における教育委員会のあり方」についてまとめています。その要旨は、

 1 地方教育行政のあり方

  @全国的な教育水準の確保と市町村や学校の自由度の拡大

  A説明責任の徹底  教育行政や教育活動の内容等の地域住民、保護者に対する説明責任

  B保護者や地域住民の参画の拡大

 2 教育委員会のあり方

  @教育委員会制度の今日における意義・役割

   ア 教育に求められるもの 

(ァ)政治的中立性の確保

(ィ)継続性、安定性の確保

(ゥ)地域住民の意向の反映

       イ 教育行政に求められるもの

   (ァ)首長からの独立性

   (ィ)合議制

    (ゥ)住民による意思決定

  A首長と教育委員会の権限分担の弾力化

    学校教育及び社会教育に関する事務については、教育の政治的中立性の確保及び教育の自主性の尊重のため、引き続き教育委員会が担当すべき。

    文化財保護及び文化、スポーツ等に関する事務については、基本的には教育委員会の担当とすべきだが、地方自治体の判断により、首長が選択できるよう検討すべき。

 

 教育委員会の中立性・独立性には様々な議論がありますが、私は、一番身近な行政が教育をコントロールできる体制作りを進めることは、戦前教育の二の舞になると思っています。


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