東京財団政策懇談会・地方議会の改革

ニセ議会基本条例を斬る U(参加報告)

2010125

あいさつ(問題提起) 東京財団 会長 加籐秀樹

 議会が市民と向き合っているのか

 議会基本条例の背後のあるものは何か

 「行革刷新会議」の歴史的意味

   事業仕分けは予算編成プロセスの一部、予算及び決算のチェック

 すべてが地方から考えていくことが地方分権ではないか

 地方で集められるお金(税金等々)をもっと増やすべき

 

提 起

1 木下上席研究員(元佐賀県佐賀市長)

 1)議会基本条例の問題点

   @「市民参加」と「情報公開」を実施するルールが明確にされていなければならない。

   A正式な公開の場において、市民と議論することが保障されている必要がある。

   B旧態依然の首長への要望型の自治制度を想定した基本条例は少なくない。

   Cこれまでの実績を大きく超える議決権限の拡大を明記している条例がある。これまでおざなりな審議を続けてきた長期行政計画に、どの程度の関与が可能なのか疑問。

 (2)議会基本条例3つの必須要件

   @議会報告会(意見交換会など)

     議会が市民生活の場に出向くことは不可欠

   A請願・陳情者の意見陳述

     議会で意見を述べることを希望した場合、それを保障しなければならない。

   B議員間の自由討議

     議会は意見をぶつけ合い、結論を導き出すところである。

 (3)議会基本条例の必須条文

   @前文

   A目的

   B議会の活動原則  3つの必須要件の明記

   C見直し手続き

 (4)政策提言

   @議会基本条例の制定過程に市民の参加と情報公開を図ること。

   A議長の選出方法を公開すること。

   B議会事務局職員を独自に採用すること。

2 中尾研究員(前北海道栗山町議会事務局長)

 ・議会基本条例の広がりに期待している。すでに84自治体で制定、今年3月末までに100台にのぼる見通し。

 ・国の地方制度調査会が、096月議会基本条例を認知した報告を発表している。

 ・市民との連携に特化したモデルになってきている。最近の例では、会津若松市議会基本条例に勢いがあり、年2回市民対話集会を開催している。

 ・大分市議会では、市議会意見交換会を実施するに当たって、議員自らが行動し参加者の呼び込み、宣伝活動を行っている。また、議会事務局との共同活動も行っている。

 ・議会基本条例制定にあたっては、議員間の討議は重要な課題

 

3 福島上席研究員(前千葉県我孫子市長)

 ・市議会議員は市民の代表者ではない。憲法の規定では、国政(権力の行使)は国民の代表者が行うことになっている。その代表者は国会議員

 ・市民は首長、議員をリコールできる。また、議会を解散させることもできる。

 ・地方議会の議員は、発言の責任を問われるが、国会議員は国民の代表であるから、発言の責任を問われることはない。

 ・一自治体だけに適用される特別法の制定は、住民の意思でなければ制定することはできない。

 ・公的意思の代行者である議員にはリーダーシップは必要

 ・市民合意と違うことをすれば、リコールの対象となり辞職、解散させられてしまう。

 ・地方議会は「間接民主主義代理制」

 ・議会基本条例に最も必要なものは、市民参加

 ・議会は意思決定機関でありチェック機関ではない。

 ・意思決定のプロセスの公開が議員間討議

 

ディスカッション

 ・市民参加とは、意見の言いたい人が誰でも自由に意見を言える場を作ること。

 ・市民の意見に必ずしも従う必要はないが、徹底的に議論するべき。最後は首長や議会が自らの判断で決める。

 ・議会基本条例は市民との約束、市民が議会を縛る条例

 ・市民参加を進めない議会基本条例が増えてきている。

 ・会派制と自由討議との兼ね合いをどう考えればよいのか。

   会派は選挙後に成立するもの。議員の個々を尊重されるべきではないか。

 ・2000年の地方自治法の改正によって、自治法の解釈権は自治体に委ねられている。自治体の解釈に対して国が間違いと判断すれば、国から地方に是正勧告がされる制度になっている。

 ・議員活動の中で市民の意見反映ができるのではないか。

   それは議員側から見た論理。機関として市民に報告するべき。政策等の決定者として市民に説明することは必要。

戻る