岩田修二の市議会ニュース      2011年7月


 「311日に発生した東日本大震災及び12日未明に発生した長野県北部地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。震災発生後4か月が経過していますが、内閣府の調査によればいまだに12万人を超える皆さんが避難生活を余儀なくされています。その多くは二次被害である福島第一原子力発電所の罹災に伴う制御不能による放射性物質の拡散によるものです。東京電力と政府に対し一刻も早い収束を図るよう強く望むものです。

 震災発生後、私の耳にこんな話が聞こえてきました。それは、市の理事者が地震発生直後、世界の民俗人形博物館を訪れ、地震で人形は倒れなかったのかと心配し職員に問いただしたということです。職員が大丈夫だったと答えたところ、何とこともあろうに「倒れない人形で売り出したらどうか」と指示したとか。また、須坂市にたびたびおいでになる有名なパティシエの奥さんである女優さんが震災直後に須坂市に来られ、当時震災直後でいろいろな行事や酒宴が自粛されている最中、その女優さんを大歓待した。というものです。私は自分の耳を疑いました。そのことが事実かどうかの確認はしていませんが、「火のないところに煙は立たず」。事実だとしたならば、罹災された方々の心情を顧みない、あまりにも軽率で自分勝手な言動と言わざるをえず、猛省を求めるところです。」

 私は、一般質問の冒頭にこう切り出しました。他にも副市長の交通事故未公表問題、議会最大会派との事前懇談会の開催など、表に出ない問題が表面化した議会となりました。

 

6月定例会の報告
須坂市議会6月定例会は、613日から75日までの23日間開かれました。提案された議案の主なものは、仁礼・夏端統合保育園建築主体工事請負契約、井上小学校校舎耐震補強工事請負契約、平成23年度一般会計補正予算案等でした。

住宅リフォーム補助に3,000万円予算化

 住宅リフォーム補助制度の創設については、3月定例会の一般質問において複数の議員から提言されていましたが、他の事業を優先して進めるため、制度の創設は考えていなとのことでした。しかし、311東日本大震災の影響で須坂市の企業活動や市民生活に大きな影響を及ぼしていること等から、市民生活や企業活動の安心・安定を図るための対策として、住宅リフォーム工事の一部を補助する制度を創設することにしたものです。

 制度の内容は、50万円の工事に対し、工事費の20%を補助する。補助の上限は10万円を考えているようで、細かなことについては「広報すざか」8月号でお知らせすることになっています。ただ、とりあえずは平成23年度限りの制度と考えているようですので、制度の継続について強く要望していかなければなりません。

須坂温泉のあり方について(提言)

設立の原点に立ち戻り、株主への配当、市民への還元等

役割分担を明確にし、企業力を上げていかなければならない。

 須坂温泉あり方研究会は、昨年9月発足以降5回にわたる研究、協議を経てこのほど「提言」をまとめ市長に提出したことが経済建設委員会に報告されました。

1 須坂温泉の現状について

 ・役員、従業員とも高齢化が進んでおり、取締役会での役員の経営への関心度は低い。

 ・持ち株数5株未満の株主が全体の80.9%を、須坂市の持ち株数は51.3%を占めている。

 ・土地の総面積の85.9%は借地。

 ・売上状況、営業状況、損益状況は、平成18年度から減少している。

2 須坂温泉の問題点

 ・行政と民間における役割分担が不明確なため、公共性と収益性の線引きが明確になっていない。

 ・顧客ニーズの変化の中での対応が不十分であったため、売り上げや収益の減少で慢性的な資金不足に陥っている。

 ・敷地のほとんどが借地で担保力とならず、資金調達能力が経営上大きな課題。

 ・正規のスタッフが極端に少なく高齢であるため、多様化する顧客ニーズに対応できない。

 ・取締役会が十分に機能していない。

 ・最後は市が責任を持つという暗黙の認識のもとで、市民が共創して須坂温泉を経営していくといった意識が希薄になっている。

3 須坂温泉についての提言

 ・戦略的な温泉経営を行う経営者の強いリーダーシップが求められる。そのために、役員報酬の適正化を図り、理念を明確にし、経営改善を行い責任を持って経営にあたることのできる環境を整えることが必要。

 ・須坂温泉の存在意義や事業継続の可能性などといった、多面的な検討も必要。

 ・須坂温泉には、土地が借地であることや、大勢の株主が存在する株主構造など、固有の環境がある。これらの問題にも的確に対応できるプロセスを早期に検討し、明確にしていくことが必要。

 ・改革にあたっては、受益者としての地元区をはじめとした市民全体にとっての須坂温泉との関係を抜きにしては検討することができない。独自に組織される「あり方検討会」で、更なる検討を加えて取り組まれるよう要望する。

岩田修二の一般質問と答弁  要旨

●市長の政治姿勢(市長答弁)

質問 情報公開の信憑性(信用できる度合い)についてどの程度の認識を持っているのか。

答弁 信憑性がどうかというのは市民の判断。特にコメントはない。説明責任は果たしていきたい。

質問 職員等の不都合な行為に対する対応について、公表されていない事例はないのか。

答弁 それぞれの職員の処分については、人事院が示している「懲戒処分の公表指針に関する通知」に基づき、報道機関や市ホームページで速やかに公表した。昨年11月副市長が起こした交通事故については、事故状況を踏まえ訓告相当として処分している。公表については、人事院通知に準じて対応しており、訓告は公表の対象になっていない。

質問 議会開会前に、最大会派との懇談会が3回も持たれている。過去にはこのような例はなかったが、過半数を占める会派に対するリーク行為、密室政治ととられかねないのではないか。

答弁 会派からの要望で意見交換を行ったもので、議案そのものを審議いただいたものではない。県議会では毎定例県会前に、正副議長、各会派代表者と知事との懇談会が行われている。今後機会があれば、議員の皆様、議会会派との意見交換を行い、政策の熟度を高めてまいりたい。

質問 疑念を持たれるようなやり方をやめ、県議会のように公開の場で行うべきではないか。

答弁 双方が合意すれば、公開で行う。ただ内容が未成熟であるため、情報公開条例上は非公開になる。

●住宅リフォーム助成事業について(市長答弁)

質問 3月定例会では他事業を優先して行うので、現時点では考えていない。との答弁だったが、急転制度の創設に至った理由は何か。

答弁 東日本大震災後の戦略的総合経済対策の一環として、地域経済の活性化と住環境の向上、福祉の増進につながる制度となることから。

質問 具体的な制度設計は。

答弁 対象経費の20%以内、最高10万円限度。広報すざか8月号等で周知したい。

●市役所機能のバックアップ体制について(総務部長答弁)

質問 東日本大震災により、行政執行上の重要な書類の破損、消失等によることに起因して事務執行の正常化が著しく遅れるという事態になっている。市役所の帳票類のバックアップ体制は。

答弁 電子化してある帳票類は毎日バックアップしており、重要書類は、庁舎書庫に保存している。市役所地下書庫は、耐震補強工事を行ったほか耐火構造にもなっている。

●行政事務執行体制について(総務部長答弁)

質問 近年の住民ニーズの多様化により、職員への負担も加重になっている。職員定数についての基本的な考え方、適正な職員数は。

答弁 毎年総務省が行っている「地方公共団体定員管理調査」の同規模市での職員数を試算すると、須坂市は53人少ない計算になる。

質問 現業職員の採用がない。震災により罹災され避難所で生活されている

地域の皆さんの相談相手になったり復旧の担い手になっているのは現場で

働いている現業職員とも言われている。そうした面からも現業職員を採用

すべきではないか。

答弁 現業職員の採用については、現在のところ考えていない。

福島第一原発の事故対策の強化、原子力政策の転換、

自然エネルギーの研究開発・普及に関する意見書

全員一致で採択  総理大臣他関係大臣へ送付

                         意見書内容(抜粋)

 3月11日に東日本を襲った巨大地震と津波は、2万5千人近い死者・行方不明者を出し、今も救援・捜索活動や避難所での被災者の苦難の生活が続いている。福島第一原発では、危惧されていた「原発震災」が現実のものとなり、広範囲に放射性物質が飛散し、大気や土地、海洋、農畜産物、海産物などを汚染している。現在もなお、放射性物質の放出は止まらず、避難した人々は居住地に帰ることができるかどうかも見通しが立たない事態となっている。

  今回の大事故は、今後の原発やエネルギー政策のあり方について根源的な課題を投げかけた 。 原子力に頼るエネルギー構造を根本的に転換し、自然(再生可能)エネルギーの研究開発、 普及 を急速に進めていくことが求められている。

  よって、国においては、福島第一原発の事故対策を強化し、原子力政策を転換、自然エネル ギ ーの研究開発・普及等を図るように次の事項を実施するように要請する。

 

1.福島第一原発事故への対策について

これ以上放射能被害が拡大することのないように、事故拡大を抑え、収束に向けて東京電力及び政府全体であらゆる対策を講じること。(他5項目)

 

2.中部電力浜岡原発と原子力政策の今後のあり方について

中部電力の浜岡原発は、菅直人首相からの要請を受諾し、すべての原子炉を停止した。しかしながら、防潮堤などの地震対策が完了した後には、運転再開が予定されている。従来の安全設計の考え方をはるかに超える事態が生じた今、東海地震の震源域に位置する浜岡原発が運転を再開することは周辺住民のみならず、国民全体を再び不安に陥れることないよう検討すること。(他4項目)

 

3.原子力防災対策について

  原子力防災対策は、国の基準では原発から8〜10kmに限定しているが、福島第一原発の大事故では、国の基準をはるかに超える広範囲の地域で深刻な放射能汚染にさらされている。少なくとも原発から100km圏内の都道府県や市町村の「地域防災計画」に、原発の大規模事故を想定した「原子力編」を盛り込むこと。(他1項目)

 

4.自然エネルギーの普及促進と省エネルギー対応について

  いったん大事故が起きれば甚大な放射能被害を出す原発に頼ったエネルギー構造の限界がはっきりした今、再生可能な自然エネルギーの加速的普及が求められている。各地域の特性(自然的・社会的特性)に応じた小規模分散型の自然エネルギーの加速的な普及に向けて政府として全力をあげること。国のエネルギー政策を見直し、自然エネルギーの普及目標と具体的な計画を立案すること。

(他5項目)

 少数会派4会派8人が共同して、議会報告会を開いています。今までに2回開きました。引き続き定例議会ごとに予定しています。ご期待ください。
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