須坂市国民保護協議会条例制定に反対する本会議での討論内容

 ただ今議題となっております、議案第18須坂市国民保護協議会条例の制定について、議案第19須坂市国民保護対策本部及び緊急事態対策本部条例の制定について、並びに議案第33須坂市防災会議条例の一部を改正する条例について関連があるため、反対の立場から一括して討論したいと思います。

国民を戦争へ巻き込もうとする有事法制については、憲法第9条に定める戦力不保持、交戦権の否認の立場に立ち、憲法擁護連合をはじめとする全国的な民主団体や労働団体が一貫して反対してきています。

私は、有事に備え国民総動員体制を整える前に、憲法の平和主義に基づき平和外交を構築し、平素の国民の信頼醸成を図るべきではないかと考えています。

04年6月、武力攻撃事態対処法第22条の規定により「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」いわゆる「国民保護法」が成立、同年9月に施行され、05年3月には国民保護計画策定にあたっての国の基本指針がまとめられました。これに基づき、市町村においては平成18年度中に「国民保護計画」を定めるものとされており、その策定を進めるため今回提案されている国民保護協議会を設置するとされています。また、国民保護対策本部、緊急事態対策本部については武力攻撃事態等に至った時に設置するとされており、今日の世界情勢、平和を望む全世界の願いをまったく無視しているものであります。

国民保護法によると、有事の際の避難、救援、消火、保健衛生、平時の訓練も含め、参加・協力は国民の自発的な意思に委ねられとされ、政府は「義務ではない」と強調しています。 しかし実態は、従わなければ罰金や懲役などの「罰則」が設けられ、物資、資材等の提供協力を拒否した場合は強制的に「収用」されることになります。更に、物資の保管命令に従わなければ、6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられることになっています。こうしたことは政府の広報ではあいまいにされています。「指定地方公共機関」についても「指定」に強制はないとされつつも「正当な理由」がない限り拒否はできないものとされています。

今申し上げたとおり、そもそも国民保護法は、その名称とは裏腹に、協力を拒否した市民に罰則を設け私権を制限する国民統制法であり、法の本来の目的である「武力攻撃事態」=有事=戦時に国民を総動員する国家総動員法であるといわなければなりません。日弁連をはじめとする専門家・識者からも「有事法制は、一般に『有事』のときのみに作用するものではなく、『平時』においても国民の権利自由を規制する危険性を有するものである」「『国民保護法』は国民保護措置の実効性に問題があり、平時から国民に危機意識を増幅させる一方、国民の知る権利を制約する危険性を有する」と厳しく警告されています。

私たちは、60年前の第二次世界大戦における沖縄戦の教訓から、有事において「軍(政府)は民を守らない」ことを知っています。政府が「国民保護」を打ち出しても、にわかには信じがたいものがあります。更に、有事法制や国民保護計画の狙いは、私たちの国土、国民を守るためではなく、国民に戦争を容認させ、米軍と自衛隊が海外の戦場へ出撃する際の後方支援に協力させるためにあるのではないかと疑問を持たざるを得ません。

地方自治体としてなすべきことは戦争準備でなく、日本及びアジア地域の多国間安全保障体制作りの提唱とその準備への参加、地域から平和を願う行動を起こして行こうという提起をしていくことではないでしょうか。「戦時体制作りは、日本の破壊の道となる。」という危惧をみんなで考えてみることが必要ではないかと考えます。国民の危険を増幅させるようなことに私たちが自ら手を貸す必要はありません。

政府にあっては、有事に備え国民総動員体制を整える前に、平和憲法の理念に基づき平和外交を構築し、平時の国民の信頼醸成を図るべきです。

国民保護法について、安直な「上意下達」を排し、地方自治体として、憲法の平和主義、住民の主権、基本的人権の尊重を第一義に、当面、憲法の平和主義にのっとり、武力攻撃事態対処法等が発動されないよう他国との信頼醸成を築くことが不可欠であるとの認識を鮮明にするべきであり、政府に対して「戦争を起こすな」という要求をするべきと考えます。

したがって、住民を戦争へ巻き込もうとする国民保護協議会条例、国民保護対策本部及び緊急事態対策本部条例の制定、それに関連する防災会議条例の一部改正に反対するものであります。

平和を愛する議員各位の賢明なる判断により、ご賛同賜りますようお願い申し上げ討論といたします。

 

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