議会報告         

平成15年6月定例会

 例年になく早い時期に台風の襲来があり、季節の感覚がなにか変になってきたような気がしている今日この頃です。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

 市議選が終わって早くも半年が過ぎようとしています。毎日が初めての経験で、学ぶこともたくさんありますが、市役所での行政経験は市会議員活動を進めるうえで、大きなウエイトを占めていることは間違いありません。

 引き続き、市民の皆さんと共に「開かれた市政」をめざして、がんばってまいります。

  

 6月定例議会は、6月13日から27日まで開かれ、13人の議員が一般質問を行ないました。特に、市町村合併の問題について5人が取り上げ、市長の姿勢を質しました。

 今議会から、一般質問は議会改革の一環として、質問席が設けられ、質問者が1人づつそこに移動して質問することになりました。


下水道使用料の引き上げは(10.44パーセント)

来年4月から

3月定例議会の委員会審査で、継続となった下水道使用料の値上げ案は、経済建設委員会で審査されました。この値上げについては、最初、6月1日からの予定でしたが、継続審査になったため6月議会で理事者側は、9月1日から値上げしたいとの説明がありました。

 審査の冒頭、委員から使用者の負担を軽減するためとし、値上げの実施時期を平成16年4月1日からとする修正案が提出されました。議論の過程では、多くの委員から下水道事業の事業費負担等について意見が出されました。採決の結果、委員全員の賛成で修正案が可決されました。

 議会最終日の本会議でも、委員長報告を受けて、下水道料金の値上げ案は修正どおり可決され、来年4月1日から実施されることになりました。なお、農業集落排水施設についても同様に値上げされます。この改訂によって、1ヶ月20立方メートルを使用する世帯の下水道使用料は月320円の負担増となります。

下水道事業全体を見直すべきでは

 下水道整備事業については、平成22年の完成をめざして工事が進められており、平成14年度までの整備率は76.9パーセントになっています。最初の計画では、平成32年完成をめざしていましたが、市長の公約で10年早めた計画となりました。下水道整備費用のほとんどは借金でまかなわれています。計画を早めることにより、その借金が膨大になってきています。その返済のために、一般会計から多額の繰り入れをしています。

また、下水道使用料金は、原則施設の維持管理費用に充てられており、それだけなら十分なのですが、借金返済の一部にも充てられています。そのため3年ごとに使用料の見直しが行われ値上げを繰り返していますが、W焼け石に水Wの状態です。

私は、市民の負担軽減を図るために、この際思い切って事業全体の見直しすべきだと思います。皆さんのご意見をお聞かせください。


     8月25日第二次稼動
    住民基本台帳ネットワークシステム

住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)とは、全国の自治体と国の指定機関を専用の通信回線で結んだコンピュータネットワークで、去年8月5日に全国一斉に稼動したものです。そして、第二次稼動となる8月25日からは、希望する住民にICを組み込んだ「住基カード」が交付でき、カードの利用が可能になります。そのための手数料条例改正案と補正予算案が提案され、原案通り可決されました。

 住基ネットは、各種行政手続に必要だった住民票が不用になる、住民票の写しが全国どこでも取れるなど、便利な面もある反面、個人情報が1ヶ所に集中するため個人情報の安全管理に不安がある、など問題点が指摘されています。

 長野県本人確認情報保護審議会は、5月28日の「中間まとめ」の中で、「現段階における県内市町村の住基ネット管理の実状は、個人情報保護が十分になされる体制になっておらず、これを直ちに解決することが極めて困難である」として、住基ネットから離脱すべきとしています。

 6月議会一般質問で3人の議員がこの問題について理事者の見解を質しましたが、安全管理は万全であり特に問題はない、としています。しかし、「県内27自治体では、住基ネットとインターネットが物理的に接続されており、インターネットから住基情報が流失する恐れがある」と県の審議会は指摘しています。

 「疑わしきは・・・・」の言葉どおり、もう少し情勢を見極める必要があるのではないでしょうか。


 岩田修二の一般質問と答弁  要旨

 6月議会は、予算や決算のような与えられた課題がなく、政策の議論を闘わせる場であるべきだと感じました。しかし、まだまだ勉強不足のところがたくさんあり、理事者側に上手にはぐらかされてしまいます。議会改革により一問一答方式になり、ますます質問者側の能力が問われています。

 

●職員人事について

 質問 職員の人事異動は、組織の活力を再生させるための手段として有効であり、逆に恣意的に行なわれることがあれば、市民サービスの後退につながりかねない。人事異動の基本方針にある「人事の停滞による弊害」とは何か。

 答弁 経験主義によるマンネリ化、馴れ合い関係の増大、あってはならない汚職などの不正行為などである。

 質問 市民要望を的確に把握し、行政課題にも積極的に対応していく中心である係長が短期間で異動することに問題はないのか。また、適材適所の人事配置とは。

 答弁 職員の能力が発揮できる人事配置を行なっている。事務事業量や公務能率のより向上を総合的に検討した結果、短期間の異動者が生じた。

 質問 職員配置の見直しについて、説明責任は果たしたのか。

 答弁 今後部課長に徹底していく。

 質問 職員に不信感をいだかせず、やる気を起こさせる人事を。

 答弁 人事は、組織や人材にとって大変重要な事項である。市の組織にとってもプラスになり、職員にとってもやる気が起きるような人事をめざして、努力していきたい。

 質問 真に行革を進めるのであれば、部長は課長を兼務するなど大胆な改革も必要ではないか。

●子育て環境の充実について

 質問 保育所における保育士の配置基準は30年も前の基準を採用している。子供の状況も変わってきているので、保育士配置基準を緩和する考えはないか。

 答弁 限られた財源の中で、有効に職員配置する方法はないか等について、保育現場の意見を参考にしながら検討していきたい。

 質問 施設の面で大変不便をしている場所や、保育室が不足をしている保育園もあるようだ。入園児の実態に合った施設・設備の充実についてどう考えているのか。

 答弁 現状の中で、増築あるいは園庭の拡大は困難である。今後、施設の新設時にはゆとりある保育環境について考慮していきます。

 質問 児童センターの定員は、おおむね30人とされているが、実態とは開きがある。定員の考え方と、受け入れ児童の限度についてお聞きしたい。

 答弁 利用者の要望にできるだけ応えていきたいが、登録児童を無制限に受け入れる考えはない。登録児童が増加している現状から、市全体の放課後児童健全育成事業を推進する中で、関係課と調整を図りながら進めていきたい。

●入札における落札価格について

 質問 市発注の土木工事が予定価格の48パーセントで落札され、契約している。常識では考えられない。その妥当性についてどのような検証をしたのか。

 答弁 低入札価格調査基準を設け、基準以下で応札した業者を対象に低価格審査会での審査を踏まえて、総合的に判断して契約を締結している。下請け業者にしわ寄せが行かないよう、適切な指導をしていく。

●観光施設の整備について

 質問 クラシック美術館トイレを早急に新設すべき

 答弁 これからの建物の修繕計画と合わせて検討していきたい。

 質問 観光客のために、駐車場案内をわかりやすく

 答弁 都市計画道路の整備に併せて、観光案内を充実させるべく実施計画の中で対応したい。

 

  常任委員会の報告

 須坂市議会には、3つの常任委員会があります。3月から一日1委員会づつ開かれています。私は、所属する委員会以外にもできるだけ出席するようにしています。

総務文教委員会(所管する部:総務部・消防本部・教育委員会)

 条例の一部改正4件、補正予算1件、請願4件、陳情1件の審査が行なわれました。

 補正予算は、主に国の緊急雇用対策事業によるものと「子育て学習の全国展開事業」の実施によるものです。請願のうち、「教育基本法の理念の実現を求める意見書の採択を求める請願」については、各委員が教育基本法と改正予定の教育基本法を十分熟知していないため、継続審査となりました。また、「清潔で公正・公平な国民奉仕を貫く公務員制度の確立を求める陳情」は、賛成の発言をしましたが、挙手採決の結果「聞置き」となってしまいました。

経済建設委員会(所管する部:経済部・まちづくり部・水道局)

 下水道料金の改定については前述のとおりです。市道の廃止案件1件、補正予算2件、陳情1件の審査が行なわれました。

 市道の廃止は、田中本家博物館東側駐車場内にある「市道穀町普願寺線支線」を廃止するものですが、市道の現況、管理、手続き等について多くの意見が出されました。挙手採決の結果、原案どおり承認されました。

福祉環境委員会(所管する部:健康福祉部・市民生活部)

 条例の一部改正1件、補正予算2件、陳情1件の審査が行なわれました。

 住基カードを発行する手数料の額を決めるため、条例が改正されました。住基カードは、本人の申請に基づき発行されるもので、交付手数料は500円となります。この改正は、住基ネットの稼動を前提としたもので、委員から継続審査の提案がありましたが、挙手採決で否決となり、原案どおり承認されました。

合併問題を考える

 市町村合併問題は、平成17年3月の合併特例法期限切れをにらんで、長野県内でも様々な動きが報道されています。須坂市でも平成14年の「地域づくり市民会議」で合併についての資料提供をし、今年6月には歴代区長(対象者約1200人)との懇談会を開き、7月からは「地域づくり市民会議」を開いて、関心を盛り上げようとしています。しかし、いずれも出席者は少なく市民の声を十分に反映されるものにはなっていないようです。

 私は、財政問題を中心にした合併論議には問題があると思っています。


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