平成16年 6月定例会
プロ野球パリーグ、オリックスブルーウエーブと大阪近鉄バッファローズの合併問題が大きなヤマ場を迎えています。球団経営者はこれ以上赤字を増やしたくないとし、合併によりスリム化し経営再建を目指すとしています。一方直接の当事者であるプロ野球選手会は反対の意思表示をし、ファンの多くも合併反対を訴えていますし、マスコミ各社もプロ野球ファンを無視したプロ野球再編論議を批判しています。市町村合併とまったく同じとは思いませんか?
市町村合併は、国の財政赤字を減らすために市町村の数を減らし、国の支出を抑えようとする単なる合理化にすぎず、地方自治体を切り捨てる政策であることを、私はかねてから訴えてきました。8月上旬には合併の可否についてのアンケートが行なわれます。私たちが今住んでいる町をこれからどうするのか重大な選択になります。
6月定例議会の報告
6月定例議会は、6月10日から25日までの16日間の開催となり、事件決議案2件、条例案3件、補正予算案2件、人事案件3件他請願、陳情の審査が行われました。一般質問は14議員がおこない市政全般について理事者の考えを質問しています。
「湯っ蔵んど」が初の赤字決算
須坂温泉は利益を計上
例年6月定例議会に、
注目されたのは「湯っ蔵んど」の事業報告で、第7期(平成15年度)決算報告で開業以来初めて1100万円の赤字を計上しています。説明では、入館者数は2万人も増えたが、入館料収入が800万円も減ってしまった、飲食、売店収入も減ってしまい、唯一増加したのが宴会収入であったとの事です。また、5月の株主総会(株主は6人)で社長、支配人が交代し新たな経営陣で経営改善を目指すことになりました。
一方、須坂温泉は旅館収入、入浴券収入は増加、売店収入は減少という報告で収支500万円の純利益を計上しています。
(単位 千円)
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12年度 |
13年度 |
14年度 |
15年度 |
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営業収益 |
当期利益 |
営業収益 |
当期利益 |
営業収益 |
当期利益 |
営業収益 |
当期利益 |
|
湯っ蔵んど |
489,550 |
1,890 |
458,969 |
1,689 |
405,840 |
1,022 |
401,109 |
△11,025 |
須坂温泉 |
8,147 |
892 |
16,612 |
10,424 |
19,699 |
9,661 |
29,957 |
5,083 |
●(まちづくり推進部長答弁)
質問 臥竜公園の桜の樹勢回復事業の成果はあったのか。
答弁 土の中にミミズが見られたり、桜の早期落葉が減ってきている。更に葉の量がかなり増えていること、葉の色も濃い緑になってきていること等により、事業の成果が現れている。
質問 生き生きとした桜に蘇らせるための今後の計画は。
答弁 約3分の1程度残っている。現在の方法を基本に、樹木医の意見も伺いながら、順次樹勢回復事業を進めていく。
質問 「じゃく譜」(堀直虎により編さんされた桜の図譜。現存するのは3冊のみ)の桜を活かす事業の取り組み事例と植栽計画の実現性について。
答弁 「全国さくらシンポジウムINすざか」の中で、「じゃく譜」に描かれた桜の記念植樹を行い、また、市民から寄贈されてフゲンゾウを市内全小中学校に植樹した。今後市内の植栽可能な場所に「じゃく譜」の桜を植えていきたい。
●(まちづくり推進部長答弁)
質問 花見の時期にある程度の駐車場を確保し、無料で開放している。しかし、その駐車場にゴミ等が散乱し清掃にかなりの費用を費やしている。この際駐車場利用者から「環境美化協力費」的な費用を徴収することは考えられないか。
答弁 利用される市民の負担も増えますし、花見以外の目的で来園される方もおられることから、どのような方法が最も市民の理解を得られるか検討させていただきたい。
●(健康福祉部長答弁)
質問 推進法では今年度中に、5年ごとの次世代育成支援対策実施計画をつくるようになっている。この計画作りをどのように進めているのか。
答弁 基本的には現在の「子育て支援計画」を見直す形での計画策定を考えている。
質問 次世代育成支援対策地域協議会の設置についてはどのように考えているか。
答弁 計画策定にあたっては一般公募委員や関係団体の代表で構成する「計画策定委員会」を設置する。地域協議会を組織することについては、計画を策定する中で検討していきたい。
●(総務部長答弁)
質問 市ホームページにようやく平成15年度の行政評価が公表された。しかし、事務事業の担当者が「事務事業評価シート」に記入するだけに終わっているように思う。部課長が先頭に立ってきめ細かな評価が必要と思うが。
答弁 昨年から予算書の事業をさらに細分化した事業ごとに、事務事業評価を始めた。事業の最も基本的な部分を明らかにし、費用対効果を見ようとするもので、各所属長が最終的に評価判断を加えている。今後は部課長も積極的に評価に関われるような仕組みを整えていきたい。
質問 行政評価を次年度へどのように反映させていくのか。
答弁 今年度からは、予算編成に向け事業の拡大・縮小など、事務事業の精査に活用できるものと考えている。
質問 補助金削減の課題も含めて、行財政改革とどのように結び付けていくのか。
答弁 事業目的と成果・コスト等を比較検討する中で、担当者が意識を持って事業を精査し、事業の優先順位、財政事情、公約事項等その重要度について部課長を中心に判断して、市民への説明責任を果たしていきたい。
福祉環境委員会(所管する部:健康福祉部・市民生活部)
補正予算2件、請願1件、陳情1件の審査がおこなわれました。
補正予算では、社会福祉協議会が管理運営している老人福祉センター「永楽荘」の配水管が漏水しているため、修理に要する経費を補助するもの、南原町に開設する知的障害者グループホームの施設整備補助金の補正が主なものです。
他に、養護老人ホーム「
経済建設委員会(所管する部:経済部・まちづくり推進部・水道局)
事件決議2件、条例1件、補正予算1件、陳情2件の審査がおこなわれました。
補正予算は、
調査事項として、「湯っ蔵んど」の経営陣が交代したことにより、新社長・支配人を参考人として招致し、平成16年度事業方針の説明を受けました。その内容は、@従来の会計処理方法が違っていた。A平成14年の「レジオネラ菌」騒動により激減した入館者の回復テンポが緩やか。B回数券や年間券の影響で一人当たり入浴単価が急落している等により、業績見通しは大変厳しい。特に平成16年度は、過去の会計上の整理をするため、経常損失となる見込み。とのことです。
今後の事業方針の主眼を、増収対策とコスト削減対策の二本柱として、積極的な改善対策に取り組んでいくとしています。
総務文教委員会(所管する部:総務部・消防本部・教育委員会・選挙管理委員会・会計課・議会事務局)
条例2件、補正予算1件、請願1件、陳情1件、事件決議2件の審査がおこなわれました。
条例は、特別職の給与を平成19年12月までの間、市長20%、助役15%、収入役・教育長10%減額するための条例改正と、消防団員の退職報償金を定額で2000円引上げる改正です。
補正予算は、特別職の給与減額により約400万円のマイナス、インターネットに
請願については、教職員組合から「義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願」が出され、義務教育無償の原則を守ることが基本であることから、全員一致で採択としました。
最終日に事件決議として、高甫小学校体育館建築主体工事請負契約及び消防署高山分署に災害対応特殊消防ポンプ自動車取得契約について追加提案があり、高甫小学校体育館1億3650万円、消防ポンプ車2835万円で契約することについて承認しました。
合併の効果は何だ 合併してみなければわからない?
説明会で必ず質問に出るのは、合併すれば何がどうなるのかということです。しかし、その質問に対して納得できる回答がされていないのではないでしょうか。確実におこなわれるのは行財政運営の効率化だけといっても過言ではありません。前市長は合併特例債を強調していましたが、さすがに市長が代わってから自助努力を前面に出して、借金地獄になりかねない特例債には慎重な姿勢でいます。だとすれば、
市長が進めようとしている行財政改革は、合併する、しないに関わらず推進しなければならないと説明しています。自分たちの暮らしに合併は本当に必要なのか、何のための合併なのか。住民アンケートを前に考えて欲しいと思います。
5月11日から13日の間、総務文教委員会の行政視察で
視察内容
市の概要 市制施行 昭和23年5月3日
人 口 150,357人(平成15年3月現在)
議員数 28人 職員数 1,125人
予算規模 477億8千万円(平成15年度一般会計当初予算)
財政力指数 0.911 経常収支率 88.6
特徴 富士重工(スバル)の企業城下町
(1) 行政評価の目的 「目的・成果重視」や「コスト意識の徹底」を基本として、有効性や効率性を追及し市民ニーズに合致した効率的かつ最少の費用で最大の効果をあげる市政経営を目指す。
(2) 評価の方法
@評価対象は「主として施策」、大局的見地から市政経営の方針を決定し、市民満足の向上を図るための手段として「施策」を評価対象としている。
A「定量的評価」に務める、可能な限り客観的な尺度、数値に置き換えて表現する。
B事前・中間・最終のチェック
(3) 年間スケジュール 部長が、市長の施政方針を踏まえ、市民満足度調査の結果等を参考に、次年度の部内各課における行政執行の指針となる「部方針書」を作成。
4月 コスト計算書・目的志向体系表の作成。施策とそれを実現するための事業の関係を表現する。
5月 施策評価表・主要事務事業評価表の作成
6月 市民満足度調査(アンケート)の実施
7月〜8月 3課合同ヒヤリングの実施。総合政策課・財政課・行政経営課
8月〜9月 部方針書の作成・庁議の開催。
(4) 補足事項
・ 施政方針策定にあたっての市民要望の把握方法は、市長が常日頃市内を飛び回っている折、市民から直接話を聞いている。
・ 行政評価が見えてこないのが悩み。
・内部評価のためチェックが甘くなる。それを補うため、ISOによる第三者審査を取り入れている。(ISO9001,14001取得済み)
・職員にコスト意識を植え付けるため、個々の所管課で評価表を作成している。
・今のところ行政評価と予算は連動していない。
・満足度調査の結果は各課へ戻し、意向調査を行なっている。(回収率30%)
(1) 発行目的 行政への参加意識の高揚を図り、市民の資金を財源として施設を建設することによって、郷土に一層の愛着を持っていただくため。
(2) 発行額等 5億円、利率年0.48%、期間7年満期一括償還、最低購入価格10万円、100万円限度
(3) 対象事業 地区行政センター(地区集会施設)建設、養護老人ホーム建設事業
(4) 応募状況 平成14年度3,187通、平成15年度751通
(5) 補足事項
・ 利率の設定が難しい、市民は高く、行政は低く
・ 平成14年度は利率が1.05%であるのと、ものめずらしさで応募が殺到した。
・ 起債の総枠の中での発行であるため財政的にはあまり意味がない。
5月12日 鹿児島県鹿屋市
市の概要 市制施行 昭和16年5月27日
人 口 81,151人(平成16年4月1日)
議員数 28人 職員数 709人
予算規模 293億7千万円(平成16年度一般会計当初予算)
財政力指数 0.48 経常収支比率 83.2
特徴 海上自衛隊鹿屋航空基地、国立鹿屋体育大学の街
(1) 行政改革実施計画 市民からの公募委員10人で構成する「行財政改革推進懇話会」での意見・要望等を踏まえ、平成16年度までを計画期間として策定
(2) 推進方針 @効率的で透明性の高い行政運営の確立、A健全な財政運営の維持と財政の弾力性の確保、B市民参加の促進と開かれた市政の推進
(3) 削減目標値 平成14年度から16年度まで200,000千円
(1) 目的 平成14年9月から開始、教育委員会が委嘱した相談員が、不登校の状態にある児童生徒の家庭訪問を通して、児童生徒の相談相手、教育相談、補充学習等を行い、生活改善を支援し、登校できるようにする。
(2) 相談員の委嘱 公募により6名を委嘱、選考条件@
(3) 成果
・聞く姿勢での相談活動により、児童生徒が抱えている悩み・不安等の解消につながっている。
・長欠による学習の遅れを気にしている児童生徒も多く、相談員と一緒に補充学習を続けることで自信・やる気が生まれ、学校復帰を考える子も増えてきている。
・保護者の子どもに対しての悩みを相談員との話の中で悩みから解放され、積極的になった保護者も多い。
・学校における当該児童生徒に対しての担任・生徒指導係を中心とした指導体制が築かれてきている。
(4) 補足事項
・相談員構成 男性60歳代2名 女性30歳代2名、40歳代2名
・相談員の任期は1年だが現相談員は3年継続している。
・相談対象児童生徒数、平成14年度28名、15年度26名、16年度(4月)13名
市の概要 市制施行 大正13年4月1日
人 口 308,852人(平成15年10月1日現在)
議員数 41人 職員数 2,238人
予算規模 1195億2千万円(平成16年度一般会計当初予算)
財政力指数 0.626
特徴 観光文化都市
(1) 導入の経過 平成14年度に行政評価推進室(職員数4人)を新設。事業評価の仕組み作りと実施準備を開始。平成15年度から事業評価制度を実施。
(2) 目的 @事務事業の改革改善の推進、A市長の政策判断の支援
(3) 事業評価制度の特徴 @行政管理制度の連携を改善する。A「市民との協働」を重要な要素とする。評価結果の公表、NPOへの委託、ボランティアの参加などを促進。B行政評価情報システムにより効率的な運用を行なう。事業評価制度・総合計画実施計画・行革大綱実施計画を一元的に管理。
(4) 効果 @事務事業の問題点の顕在化、A改革改善方針(達成水準・期限)についての認識の共有、B緊密なコミュニケーション(課内・部内・実施部門と管理部門)
(5) 課題 事業評価表の記入内容(不十分な記述)
(6) 補足事項
・ 1,400以上の事務事業について評価対象とし、当面500〜600の事業を選定し3年間で3分の1づつ段階的に取り組んでいる。効果が薄い事業は除外。
・ 当初予算案が固まった段階で評価対象について調査する。
・パブリックコメントは取り入れていない。また、内部改革のため外部評価は取り入れていない。今後の研究課題。
(1) 経過 平成13年度にFネット事業(FAX配信)を導入、消防団各部(76部)及び広域6町役場にFAX配信。これにより確実な現場到着が図られるようになった。そこで、より早く確実な出動態勢、現場到着時間の短縮を図るため、携帯電話のIモードを利用して災害情報を配信する「災害情報Eメール配信事業を、平成14年10月から開始。
(2) 効果 @災害時において、消防団に確実な情報が送れるようになった。A消防団の参集が迅速・確実になった。B消防職員にも災害の情報が送れるようになり、情報がどこでも確実に入手できる。
(3) 今後の課題 @一度アドレスを登録すると、アドレスの変更時などの場合の把握が難しい。A聴覚障害者への配信事業の登録促進。B必要以上の消防団員が出動してしまう場合が増えている。
(4) 補足事項
・システム構築費用11,970千円、メンテナンス費用年間300万円弱
・登録は任意で、現在
・平成16年2月から聴覚障害者にも、災害弱者情報管理事業の一環としてEメール配信を開始。該当者約1,500人の内登録者は6人。
・完結についても配信している。
以上