第4話   凱旋門を見つめて                            06.03.21

  
  それは一見省吾さんとは何の関係もないような冊子でした。
  ある人が弓道をやるというので、その関連の本を見せてもらいました。
  「そんなはずはない」の「はず」や、「手ぐすねひいて待つ」の「手ぐすね」などは、
  この弓道の道具からの言葉だと教えてももらいました。

  そしてその冊子には、それこそ省吾さんとはほとんど何の関係もないと思われる
  長野県知事がわざわざこの村に住みたいと言って住民票を移し変えた
  「泰阜村(やすおかむら)」の村長さんの記事が掲載されていました。
  その松島村長さんも弓道をやるということでその冊子に寄稿されていたわけです。

  タイトルは少しは省吾さんと関係あるかもしれない「弓で挑む武蔵の境地」と
  そしてこれも省吾さんとは関係のなさそうな「究めよう「深き水の心」」というものでした。

  宮本武蔵も私はそれほどよくは知らない。
  対決にわざと遅れてきた・・・ぐらいしか知らないのがちょっと恥かしいですが・・・
  それでもその文章を淡々と読みすすめていくうちに、正に「目から鱗」の文章に出会いました。

  それは

  「経験が長くなったり高段位になることで人格が向上し、
   人間の価値が上がるわけではありません。
   経験や段位にふさわしい言動を自らが考え学んでこそ、
   真の人格形成への道といえるのではないでしょうか。」


  という文章でした。

  色んなところで書いているので、何度も読まれる方もいるかもしれませんが、
  省吾さんが、昨年の夏に行われた “up bank fes'05” で、
  ミスチルの桜井さん達と共演した時の最後に、小林さんと握手した時の、
  その省吾さんの態度は、まさしくこの通りだったように思えます。

  普通なら省吾さんが小林さんに対して、「ありがとう」と言うだけでも、
  誰も批判したりしないと思います。
  省吾さんの方がキャリアも長いし、年齢も上ですし、何の不思議もありません。
  けれど、省吾さんは「どうもありがとうございました」と丁寧に挨拶をされていました。
  その姿に感動したのは、私だけではないと思います。
  その時はそんなところが省吾さんらしいなあ・・・と思っていましたが、
  でも、上に書いたように、松島村長さんの言葉を読んでからは、
  もしかして、省吾さんはそういったことをちゃんと知っていたのではないだろうかと
  思うようになりました。
  それが、あの握手と言葉に出たのだと思います。


  どこかの社長さんが、定年退職して普通の人になったにもかかわらず、
  公共の場所で、オレは偉い(偉かった)んだぞ・・・みたいな態度をしている人。
  社長や部長の奥さんが(内助の功というのは解りますが)自分が偉いわけでもないのに、
  えらぶっているいる人。
  偉いのに偉いと言って何が悪いと言っている人。
  そういう人達はたくさんいるように思います。

  だけど本当は違うと思います。
  どんな時でも、おごったり、天狗になったりすることなく、自分の道を究める・・・
  私も松島村長さんのこの言葉をしっかりと心に留めておきたいと思いました。


  凱旋門を実際に観たことはないけれど、ど〜〜〜んと構えているその姿は、
  省吾さんのようにも思えます。
  その足元で私達が休息したり、元気をもらったり、何があっても揺らぐことのないその
  力強さが省吾さんの姿と重なります。



          「」文引用 : 「弓道」 財団法人 全日本弓道連盟 発行 2004年10月号 より





  
      第2話  省吾さんへの想い その2

          稲妻は駆け抜けず・・・                 05.06.18


1986年。
季節はちょうど今頃・・・

その日の夜、まだ幼い子供たちを寝かしつけた後、
終わった洗濯物を室内で干そうとしていました。

“そうだ、たまにはラジオでも聴きながらやろう・・・”

ふと、そんなことを思いつきスイッチを入れたんですよ。

突然流れてきた、ギターの音色。
そして、独特の歌声。

“んん?? この声は浜田省吾・・・
 こんないい曲を歌っていたのか・・・”

これが、その時の印象です。
曲は途中で終わることなく、最後まで流れました。
その後、DJの人が何度も、
「今かけた曲は、浜田省吾の路地裏の少年です」と言っていました。
何度も言わないと、問い合わせの電話が沢山来て困るらしい状況でした。
「だから問い合わせして来ないでね」と締めくくってたのを覚えています。

こんないい曲なら、私も問い合わせしたくなるところでしたね。
DJの人が何度も言うことに納得さえしてました。

突然曲を聴いたので、聴きながら、タイトルも気にはなってたんです。
でも、何度も言ってくれたお陰で、タイトルと曲は、
しっかりと、心に刻み込まれました。

そして、私の中には、不思議な感情が沸きあがりました。
ついさっきまで、知らなかったこの曲を、
「いつかライブで聴きたい」と思ったのです。

それは本当に不思議でした。
それまで色んな人の曲を好きで聴いてはいたけど、
一度もライブに行って見たい・・・などと思ったことはなかったんです。
それが、魔法をかけられたように、そう感じていました。

「いつかきっとライブでこの曲を聴く」
それは、その後の私にとって呪文のようになりました。

“いつかきっとライブで「路地裏の少年」の曲を聴くのよ。
 あなたこんないい曲知らないでしょ?!
 教えてあげないよ。私独りのものだからね〜!”

口に出して言ったわけではないですが、
そう思うと、元気が出ました。
なんだかいじけた性格でしたが、
当時は心から話せる友だちもいなく、
仕事と育児と家事に必死でした。
誰かに教えてしまうと、私の「路地裏の少年」に対する情熱が
逃げていってしまうように思えたんです。

たった1曲だけにこだわり、
その思いだけを胸に秘めていました。、
振り返ってみて思うんですけど、
この曲をあの日聴かなかったら、今の私はいないかもしれないですね。

その思い一筋に、2001年のライブまで生きていたように思います。
その間には色んな出来事があって、
省吾さんの存在に気が付かない時もありました。
でもこの日に思った「いつかきっと」は、忘れることなく、
長い長い時間の中で脹らんできたように思います。

確かに私にとって、この「路地裏の少年」の曲は、稲妻が駆け抜けた感じです。
でも駆け抜けた・・・というよりも、居座ってしまったという表現が合ってるかもしれないです。

あの日から、今も私の中で、ピカピカと光り輝いています。

     

     第1話  省吾さんへの想い その1

          ON THE SHOGO'S ROAD                 05.05.05


省吾さんのファンになったのは、1986年のことだ。

でも、その前から「浜田省吾」の名前は知っていたし、当然TVにも出ないことも、
サングラスを外さないことも知っていた。
記憶には残っていないどこかで、きっと省吾さんを知ったに違いない。

改めて古い記憶をたぐりよせてみようと思う。


どこで、どう省吾さんを知ったのか解らないのに、
私には鮮明に記憶に残っていることがある。

「浜田省吾は、コンテストに出場して優勝してデビューした」ということです。

省吾さんを知っている人なら、
そんなことは有り得ないってことは良く解ると思いますが、
その頃の私はそう思いこんでいました。
省吾さんが、デビューしてそんなに年数がたっていない頃だったと思います。

何をどのように思ってそうなったのかは、全くの不明になっていますが、
私は省吾さんのことを詳しく知ることになる、2000年まで、
そんなふうに思い続けいていたわけです。

そして、そのことにオマケのようにくっついてる曲がある。
それは、全くの他人の曲なんですが、
それを省吾さんの曲だと信じこんでいました。
今も誰の曲なのかは、解っていないけれど・・・。

「何万人かにひとつだけの君だけの青春
 君だけに与えらたものじゃないけれど 君だけは・・・」 という歌詞の曲。

よく歌詞を読むと、意味不明のようにも思えるが・・・。
でも、これを省吾さんが歌っている・・・と思い続けていた。

アルバムを聴き始めて、そして何枚も何枚も聴いていても、
ちっともこの歌詞の曲には出会うことはなかった。
もしかして、シングルなのかも・・・と思ってもみたが、そこにもありそうになかった。

今でもこの曲を聴いた時のことを思い出す。
ラジオでのスポット放送だったように思う。
この曲が流れて、女性の声で、
「○○○〜(曲のタイトル・・・なんだけど、これは覚えてはいない)
 浜田省吾 発売中・・・」というようなことを言っていたと思う。

なので、今もこの曲を歌えたりする・・。(全然意味がないけど・・・)
でも、よく思い出せば、その歌声は省吾さんとは、違っていたし、
歌詞も省吾さんっぽくない・・・というのもよく解る。

そんな間違った知識の中で、
「風を感じて」のCMも気にとめることなく、
レコード店でシングルのジャケットを横目で見ながら、
武道館や、渚園でライブがあることも知らないまま、
1986年を迎えることになる。


                                          





君が人生の時
綴り書き

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    恋は魔法のようさ  (4)                  05.12.17



「マリー 最近すごいなあ・・・」
ショウは張り出された期末試験の上位成績者の名簿の中にマリーの名前を見つけてつぶやきま
した。
マリーに関しての色んな話も伝わって来ていました。
生徒会の役員もやっているし、町をキレイにする運動に加わっているとか、時間があるときは、
子供達の面倒を見たり、お年寄りへのボランティアをしたりしているらしいのです。

ショウは、全然マリーに会ってないことに気がつきました。
あの変なジュースを持ってきた日以来、何ヶ月も過ぎていました。

今どうしているのだろう?

少し前までは、意識することなく二人でいることが普通のような状態でした。
勉強もしたし、ケンカもしたけど、何も考えることなく過ごせていました。でも、いったいいつマリーと離れてしまったのかさえショウには解らなくなっていました。

思えばあの頃のマリーはいつもキラキラと輝いていて、そこから魔法の粉が振りまかれているかのように、そしてその粉は全て、自分の中に吸収され自分も輝いていられたような気がしました。


犬のピッチを散歩に連れて行ってたマリーは、夕焼け空を見ていました。
ショウから遠ざかっても、ショウへの想いは消えない・・・
流れてゆく茜雲は、子供の頃ショウと見た夕焼け空を思い出させるばかりでした。
この想いはどうすればいいんだろう?
答えの見つからない疑問に今日も心は沈んだままでした。

すると、ピッチがどんどん走り出してマリーは引っ張られてしまいました。
「ピッチ、どうしたの・・・?ちょっと待ってよ・・・。」マリーはあわててリードを引き寄せようとしますが、
ピッチは止まりません。どんどん走って、やっと止まったかと思ったら、今度は一歩も動きません。
どうやっても動かないので抱き上げようとして、ふと周りを見ると、そこはショウの家の前でした。

なんで・・・?
マリーは呆然とそこに立ち尽くしました。
すると、突然玄関のドアが開いて、ショウが出てきました。

ショウもマリーがいるとは知らずに出てきたので、二人ともビックリしました。
ただ見つめ合い、立ち尽くしたままどのくらい過ぎたでしょうか・・・

それでもショウがやっと我に返って、言いました。

「やあ、マリー。元気そうだね。
 ボランティアをやってるんだって?上位成績者の名前も見たよ。
 何だか不思議でサ・・・。
 そんな君のことが、魔法にかけられたように気になるんだ・・・」

「えっ!?魔法・・・?」

「そうさ。マリー、魔法を使ったんだろう? 
 研究してるもんなあ・・・。」

ショウは笑っています。

マリーも笑いながら応えました。

「使わないわよ。そんなの・・・」

それは、今まで離れていたことが嘘のように二人の間の距離が縮まった瞬間でした。


マリーは思いました。

もしかして魔法って、誰の心の中にもあるんじゃないかと。

それは優しさや思いやりや暖かさが、
努力や情熱が、目にはみえない魔法の力になって、相手の心を変えることが出来るんじゃないかと・・・。

そうだとしたら、これ以上の魔法はないのかもしれないと・・・・。

                                  

                                                         完









                           



      恋は魔法のようさ  (3)                  05.12.03


「マリー、好きなヤツがいるのなら、ちゃんと気持ちを伝えろよ」
そう言ったのはジョージでした。

学校で行われている華やかなダンスパーティーの会場でのことです。
沢山のカップルがダンスをしたり、楽しそうにおしゃべりをしたりしています。
ショウの周りにも数人の女の子達がいました。もちろんリンダも寄り添っているので、
とてもそんな中に、マリーが入れる場所はありません。遠くからショウを見つめるだけで
精一杯でした。
一瞬、ショウと視線が合ったような気がしましたが、彼の表情は何も変わりませんでした。

会場を賑わせていたギターやドラムの音がふいに止んでパーティも終わりに近づきました。

「気持ちを伝えて、ダメならダメでいいじゃないか・・」
ジョージはマリーのショウへの気持ちを思い、慰めるように言いました。
そんな彼もまたマリーへの想いは届かないままでした。
でも彼はマリーの幸せを願って、パーティーでのパートナーに誘いました。
マリーは、ジョージの気持ちに感謝しながらも、一筋の涙をぬぐいました。

その夜のマリーの頭の中は、ショウのことで一杯でした。
自分の気持ちを伝えるというのは、どんなに難しいことでしょうか。
マリーのそばには、あの日ついてきた仔犬のピッチが、ベッドにもぐり込んで、ピッタリとくっつ
いていました。媚薬はまだ効いているのかもしれませんが、可愛がってもいたので、魔法なのか
本当の愛情なのか、はっきりとは解らなくなっていました。

あの日から、魔法の研究もする気になれず、たとえ魔法で相手の気持ちを自分に振り向かせ
たとしても、魔法は魔法・・・
いつか効き目が切れてしまう時が来るかもしれません。
そう思うと、今の自分にはショウの心を捉えることは無理なのだと思いました。
悲しいけれど、ショウのことは諦めよう・・・
そんな思いが押し寄せてきました。

それからのマリーは、ショウを忘れるかのように、勉強に打ち込み、いつも優しく笑顔でいること
に努めました。
そして、ジョージとも少しだけ付き合うようになりました。

けれど、ジョージには解っていました。
マリーがショウを諦めきれないことを・・・

でもジョージは、いいと思いました。
ほんの少しでもマリーの役に立つのなら、それでいいと・・・。
                        

「ほら、あそこ!見て・・・」 リンダがショウに言いました。
リンダの言う方向を見ると、そこにはマリーが立っていました。
二人のいる喫茶店の窓から見える公園の舗道で、落ち葉を蹴るように、つまらなさそうに立って
いるマリーが・・・。
すると、真っ赤なスポーツカーがやって来たかと思うと、マリーを乗せて走り去りました。
それはジョージの車でした。

「あの子、ジョージと付き合ってるのね。パーティーの時一緒だったものね。私はてっきり、
ショウのことが、好きなのかと思っていたわ」

「そんなことないさ・・・ただの幼馴染みなだけだから・・・」

そう言ったもののショウの心には、ちょっとだけ疑問が浮かびました。

今まで、マリーが誰かと付き合ったことなんて、あっただろうか・・・




                                                       続く



                           


      恋は魔法のようさ  (2)                  05.11.19


「早くこれをショウに飲ませなくちゃ・・・」
土曜日の午後、完成したばかりの恋の媚薬をキレイなビンに入れたマリーは、ショウの家に
急ぎました。
ベルを押すと、すぐにショウが出てきました。

「やあ、マリー、どうしたの?」
「これを作ったから、ショウに飲んで欲しくて・・」
マリーはそう言うと、ピンク色したビンをショウに差し出しました。

「へぇ〜〜〜、綺麗な色だなあ・・・。それで、これは美味しいの?」

突然訊かれたマリーは、返事に困りました。
この媚薬は相手に飲ませる物・・・
ショウに飲んでもらうことだけを考えていて、当然味見などしていません。

それでもショウは蓋を開けて、飲もうとしてくれました。
「何だか、変な臭いだぜ・・・」と言いながらも、ひとくち口に含んだのはいいのですが、
飲み込むことは出来ませんでした。

「うへぇ〜〜〜!!苦いよ!!これ・・・
何なの一体??変な物を作るなよ。だいたい、味見もしないでオレに飲ませようなんて、無理
なんじゃないの?君が飲んでいいよ」

ショウはビンをマリーに突っ返すと、さっさとドアを閉めてしまいました。

ショウの言うことは、最もでした。
失敗の上に更なる失敗です。ショウに嫌われたかもしれません。

マリーはガッカリして、家に戻る途中の道路脇に、ビンから媚薬を捨てました。
少しだけ泡になって、その場に水溜りのようになりましたが、やがて土に沁み込むはずです。
空を見上げると綺麗な夕焼けでした。
茜色の雲を見ながら、ショウとはこれからどう接していけばいいのだろう・・・と思った時、足元で
ピチャピチャと音がしました。
何だろう?と思って見ると、どこから来たのか1匹の仔犬が、捨てたその媚薬を舐めていました。

マリーはビックリしましたが、人間じゃないものね。犬なんかに効くはずないわ・・・と思ったのもつかの間、その仔犬はマリーの傍にピッタリとくっついて来ました。
なるべく離れて歩こうと、あっちに行ったり、こっちに行ったり、戻ったりもしましたが、仔犬は離れる様子はありません。
良く見ると、首輪もついていないようでした。
マリーは知らん顔していましたが、とうとう家までついてきてしまったので、マリーが仔犬の面倒を
見るほかに方法はないようでした。

その夜、マリーはまたショウの夢を見ました。

「人の心はそう簡単には動かせないさ・・・」
ショウがそう言うと、背を向けて去って行ったのです。

それはマリーの心に深く突き刺さり、朝の目覚めを一層だるくさせました。
                                    


                                                       続く

  お願い

16歳の少女が毒殺未遂という事件が起こりました。
今までに例がなく事件が起きたことを悲しく思っています。
きっとこのお話の主人公マリーのように色々な薬品で実験などをしていたのかもしれません。
お話とはいえ、こんな時期に掲載しようかどうしようか迷いましたが、
これを書いた時点では、まだこの事件はニュースになっていませんでした。
事件とは何の関係もなく、ただ省吾さんの曲の魔法という言葉から浮かんだお話なので、
掲載させていただくことにしました。
ご了解していただけると嬉しいです。

       

    第3話  ある物語

 童話的なものはかなり前から書いていました。が中々思うように書けず、ここ何年かは中断していま
 した。
 それが省吾さんの「魔法」という言葉から何故かまた書いてみよう・・・などと大それた事を思いつき
 挑戦してみることにしました。
 読んでいただけたら幸いです。




          恋は魔法のようさ  (1)              05.11.05

   「ダメだわ。また失敗!
   この色がピンクにならなければいけないのに・・・」

   自称「魔法研究家」のマリーは、実験がまた失敗に終わったことを嘆いていました。
   ため息をつきながら、本棚にある分厚い「魔法大事典」の本を取り出し、最初から見直そうとして
   います。

   作っている「魔法の薬」とは、恋の媚薬。片思いの相手が自分を好きになってくれるという薬です。
   アレにコレを混ぜて火にかけ沸騰して黄色になったら、ソレを混ぜて、溶けるまでとろ火でよくかき混
   ぜる。
   粘りがでたら、白いバラの花びらの搾り汁三滴と、あなたの涙二滴を入れ、人肌に冷ましておく。
   裏ごしをして炎で一瞬燃やし、ピンク色になったら完成。
   それを相手に飲んでもらう。

   「あ〜〜ぁ、たったこれだけなのに、何で出来ないのかなあ?」
   マリーは本を投げ出して、気分転換に散歩に出かけました。

   暫く街を歩いていると、向こうから見慣れた青年がやってきます。
   それは幼馴染のショウでした。
   そのショウこそ、マリーが片思いしている相手です。
   どうしても恋の媚薬を飲ませたい相手です。

   でもマリーの目に映ったのは、ショウがマリーの知らない女の子と腕を組んで楽しそうに
   歩いている姿でした。
   マリーはあわてて、近くのショーウィンドウを覗き込むふりをして、ショウの目に入らないようにして
   いました。
   も
し姿が消せる薬があったら、それこそ使いたいくらいでした。

それなのにショウはマリーを見つけ、声をかけてきました。
「やあマリー、何してるの?」
「何って・・・えっと、、ウインドウを見てるだけ・・・だけど・・・」
「へぇ〜〜。君がこんな物に興味があるなんて知らなかったなぁ・・」
マリーはウィンドウの中を良く見てみると、そこには子供向けのおもちゃやお人形が、
綺麗に飾られていました。

「まぁ、君が何に興味を持とうと自由だけどね。
紹介するよ。彼女はリンダ。これから映画に行くとこ。じゃあ・・・。」
リンダという娘は軽く頭を下げたので、マリーも頭を下げました。

いったいショウは何なの!!
私の気持ちも知らないで・・・
マリーは急いで家に帰ると、また実験を始めました。
今度こそ、今度こそ、成功させて、ショウに薬を飲ませなくちゃ・・・

そんな思いが通じたのか、何とか薬は最後にピンク色になりました。
「やった!!完成だわ!!
これを早くショウに飲ませなくては・・・
そう思いふと窓の外を見ると、すでに真っ暗闇でした。
何時間実験をしていたのか解らないほどでしたが、安心したマリーは眠くもなり、
そのまま眠ってしまいました。

「マリー、恋の媚薬なんて無駄だぜ。
 そんなものを飲んだってオレはマリーのものなんかにはならないからサ」

ショウの声で、マリーはハッとして目を覚ましたました。
今のは何?夢?
マリーは何となく気になり、作った薬を見てみると、それは見事な黒い色に変わっていました。

「え〜〜〜!!これは何??」 驚きで眠気も吹き飛びました。
マリーはもう一度魔法大事典を取り出し、よーく読んでみると、
下の方に「30分以上経つと、薬の効果はありません」と小さく書かれてありました。




                                                続く



  
   第5話  ついに解明                           2010年 6月19日  


 
何が解明したかというと・・・
私が長年疑問に思っていた、省吾さんが歌っていると間違えてた曲が、
誰の曲だったのか、解明したんです。(^o^)丿。

本当に疑問が解決して、ハッピーと言う感じです〜。


その歌詞は

「何万人かにひとつだけの君だけの青春
 君だけに与えらたものじゃないけれど 君だけは・・・」 というものです。

何となく、ネットで検索したらヒットしました。
以前も検索したはずなんだけど、その時はわからなかったんですよね。

で、この曲を歌っていたのは、
なんと! 浜田良美さんという男性の方でした。
発売は1974年か75年。
ちょうど省吾さんのデビューと重なります。

きっと私はこの曲を聴いて、「浜田」という名前だけ頭にインプットされ、その後、省吾さんの名前を聞いたときに、同じ浜田だったので、
省吾さんの曲だと思いこんでしまったんだと思います。

これで私にとっての、省吾さんのルーツが解明できて、
胸のつかえがとれた感じです。(^^♪
ホントヨカッタ良かった。

あと、どうしても記憶にないのが、
省吾さんの曲を始めて聴いたのは、いつ、どんな時、何の曲だったのか・・・
ということです。
これが解明出来たら、本当に霧とかモヤが晴れるんですけどね・・・。