岩田修二の市議会ニュース   2009年10月

 政権交代が現実のものとなりました。今から15年前の1994年(平成6年)、当時の羽田内閣が総辞職した後、自民党・社会党・新党さきがけが連立政権を組むことに合意し、首班指名で社会党の村山委員長が内閣総理大臣に指名されて以来の自民党以外からの総理大臣の誕生となりました。当時は、総選挙によって政権政党が交代したわけではなく、政党の思惑が一致した結果としての村山内閣であり、衆議院での第一党であった自民党の基本政策が踏襲され、政策そのものに大きな変更はなかったと評価されています。

 今回は、民主党が総選挙において308議席を獲得して安定した第一党となったことにより、政権を担うことになりました。鳩山内閣の支持率は歴代内閣でも3番目に当たる70%を超え、国民の大きな期待が伺えます。

この政権交代によって、中央の官庁は右往左往。民主党の政権政策(マニフェスト)を実現させるため矢継ぎ早に前自民党麻生内閣の政策を転換、日本を大きく変えようとしています。民主党が政権公約で大きく掲げた「暮らしのための政治を。」を実感できる、大胆な政治を望まずにはいられません。

9月定例議会の報告

須坂市議会9月定例会は、91日から30日までの30日間開かれました。提案された議案の主なものは、市営住宅退去時の原状回復費用の返還請求事件の和解に関する件、指定管理者候補選定審査会条例の制定等の条例案件、平成20年度各種会計決算認定、平成21年度補正予算等でした。

「学校給食センター民営化のための業者選定会議外部委員謝礼」

の削除を求める修正動議を提出  (補正予算の修正動議)

 この予算は、学校給食センター調理部門を平成224月から民営化するため、その委託業者を選定するにあたって外部委員による委託業者選定会議を開くための委員謝礼です。

学校給食センター調理部門の民営化については、PTAをはじめとする住民に十分な理解が得られていないばかりか、経費の削減についても多くの疑問が残ること、民営化を決める段階で例えば「検討委員会」とか「審議会」とかいったものを全く開かず、大衆的な市民意見を聞こうともしなかったのに、いつ誰が決めたかの説明もない民営化のための委託業者選定会議委員の謝礼については認めることはできないと主張しました。

 学校給食センターの民営化について市民からは、「給食センターを民間にという話しがあることを聞き、立腹しています。将来の須坂を支えていく子どもに、安全で、体によい食を与えるのが行政の役割ではないでしょうか。財政難と言う理由で、子どもたちにしわ寄せが来るのは問題です。保護者にも学校にも積極的な情報公開と説明を求めます。」「センター委託に関する検討会に市民の意見が取り入れられていない。実際に知らない保護者が多いと思う。」「給食のためのコストは決して税金の無駄遣いにはならない」といった意見が寄せられています。このことを考えると、市民の理解が本当に得られているか大いに疑問があり、この計画を進めようとするなら、さらに市民、とりわけ保護者の皆さんの理解を得る方策を講じなければならないのではないでしょうか。結論ありきではなく、またコスト論ではなく、子どもたちにとってどのような影響が考えられるのかを、きちんと説明しなければならないと思います。(修正動議の提案理由)

平成20年度決算の状況(一般会計)

収入合計  1834,0163,640円(前年比96.3%)

支出合計  1773,4279,742円(前年比95.3%)

差引額    6  5883,898円(前年比137%)

支出の内訳                 (単位:決算額 千円  前年比・構成比 %)

性 質 別

決算額

前年比

構成比

前年構成比

説   明

消費的経費

人件費

4,476,161

100.51

25.24

23.94

給料・報酬・退職金等

物件費

2,368,947

98.51

13.36

12.93

備品購入費等

維持補修費

168,911

103.45

0.95

0.88

施設管理・補修等

扶助費

2,227,993

102.83

12.56

11.65

生活保護・福祉給付金

補助費

1,018,639

106.53

5.75

5.14

団体・事業の補助金

小計

10,260,651

101.15

57.86

54.54

 

投資及びその他

普通建設事業費

1,434,455

69.05

8.09

11.17

耐震補強・道路工事等

公債費

2,137,487

86.96

12.05

13.21

借入返済・利子

積立金

366,196

86.80

2.07

2.27

基金への積立金

投資及び出資金

33,670

59.46

0.19

0.30

 

貸付金

1,229,276

104.27

6.93

6.34

 

繰出金

2,272,545

100.33

12.81

12.17

特別会計への支出金

小計

6,039,174

94.65

34.05

45.46

 

合    計

17,734,280

97.55

 

 

 

 北海道夕張市の財政破綻が問題化して以降、国では自治体の財政状況を数値化して公表することを義務化しました。須坂市の財政状況は、いずれの数値も極めて健全でありました。しかし、健全財政にも限度があります。政策的な事業が極端に少なく、ただ、繰越金が増えている財政運営に大いに疑問が残ります。

 岩田修二の一般質問と答弁   要旨

民間保育所建設について(市長答弁)

質問 保育所運営審議会答申では、保護者・地域住民の要望などを踏まえるよう提言されているが、どのように尊重されているのか。

答弁 候補地の決定と、選考委員会での事業者の決定を受けて、保育園の保護者、地域の皆さんに説明会を開いた。

質問 閉園が予定されている須坂南保育園の保護者への説明は十分行なわれているのか。

答弁 新年度の保育園入園申込受付の際に、新規の保護者には子ども課職員が説明した。

質問 須坂南保育園の現地改築は全く考えられないのか。

答弁 現時点では現地改築は考えていない

学校給食センター調理業務の民営化について(教育次長答弁)

質問 民営化に向けた準備はどの程度進んでいるのか。

答弁 8月に委託業者の公募、3社が説明会に参加した。10月から11月に業者選定会議を開き、12月に業者を選定していく。

質問 PTAに対する説明は十分に行なわれているのか。

答弁 各学校の正副会長等が対象で、会議の一項目として説明した経過がある。

質問 教育委員会ではどのような議論をしたのか。

答弁 平成20年から数回議論をしている。中心は子どもの食育等の議論だったと思う。

行政運営上における諸課題について(市長答弁)

質問 竜の里須坂健康マラソンのゲストランナーに今年も現役の参議院議員を招待する理由は何か。

答弁 実行委員会の議論の中で、オリンピック等で素晴らしい成績を収められた有名なアスリートだということで決まった。

質問 政治家を招待することに疑問は感じないのか。

答弁 過去の輝かしいスポーツ経歴と、第17回大会から毎年お招きしているが、参加者から大変よかったという話を聞いている。

質問 市長・副市長が県外の同じ場所に同時に出張する必要性がどこにあるのか。

答弁 産業活性化という極めて重要な課題であることから、副市長も加わった。

質問 危機管理意識が全く欠如しているのではないか。

答弁 万が一私が、あるいは副市長が欠けたとしても他の職員が代理して、しっかりと機能する体制にある。

質問 叶{坂健康福祉ランド清算について市長は道義的責任を感じていないか。

答弁 「湯っ蔵んど」の営業の継続を図ること、叶{坂健康福祉ランド社員の再雇用を図ること、一般債権者へ迷惑をかけないことが、道義的責任を取ることであると判断した。

質問 「死海の水温水プール」を市は2,300万円で購入したが、現在まで使われていない。仮に現在の指定管理者が、この温水プールを活用しないと判断した場合には、どのような対応をするのか。

答弁 仮定の質問には答えられない。

保育園の統廃合計画

    新しく民間保育園を建設し須坂南保育園を閉園

保護者には寝耳に水の話

須坂市が平成8年頃まとめた統廃合計画では、当時の須坂東保育園、須坂保育園、須坂南保育園を統合して2園にというものでしたが、須坂東保育園と日滝保育園を統合したため、その後、須坂保育園と須坂南保育園の統合と言う筋書きに変化しました。それが、今回の新設民間保育園の建設計画が持ち上がり、保育所運営審議会も須坂保育園、須坂南保育園は単独整備との答申になり、民間の保育所を優先し須坂南保育園は閉園と言う流れになってきています。

公立保育園の統合及び民間活力の導入計画に係る方針

仁礼保育園と夏端保育園を統合し、新たに1園(統合園)を設置する。
井上保育園と須坂千曲保育園を統合し、新たに1園(統合園)を設置する。
統合による施設の改築時期は、平成24年度以降(予定)とする。また、改築の優先順位は、施設の状況、統合園の用地確保等を総合的に勘案し決定する。
須坂南保育園は民間活力導入による新保育園設置(民設民営)とし、新園開園後は閉園する。
須坂保育園は単独で施設整備をする。
統合計画対象外の公立保育園(高甫・北旭ヶ丘・豊丘・相之島保育園)は今後の園児数の推移をみて検討する。

(須坂市ホームページより)

 

 この方針は、平成20125日に須坂市保育所運営審議会からの答申を受けて、平成203月号の市報で公表しています。しかし、閉園が予定されている須坂南保育園の保護者にとってはまったく寝耳に水の話。この間説明もほとんどされず、民間事業者が決まったこと、新設保育園の建設予定地がほぼ確定したことを受けて、ようやく今年の8月に説明会を開いています。

8月12日の説明会で出された保護者からの意見・質問

 2年前の説明会では、みんな反対していて、須坂南保育園が無くなることに対して、反対の意見しか出なかったと思う。それをどれくらい市が把握していたのか、その意見をどうしたのか。保護者の意見はまったく聞く耳を持たなかったのか。計画が進んでいるが、私の知る限り須坂南保育園が無くなることに賛成の保護者はいない。どんなに反対しても、市は、強制的に進めていくのか聞きたい。

子どもから須坂南保育園を無くさないよう大きな声をあげて言ってきてほしいと言われてきた。須坂南保育園は、子どもにとっても親にとっても大切な場所である。閉園だと聞いてショックを受けていたが、1年半以上何の音沙汰もなくいきなりこれでびっくりしている。このまま、話しを進めていくのか。子どもの意見、親の不安はどのように受け止めてくれるのか。何も説明がないまま、いきなり決まりました、1年半後には新しい園にしてください。子どもにどうやって説明したらいいのか。

全てが決まってからの説明では何の意味もなく、上意下達の進め方に怒りさえ覚えます。

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