岩田修二

                      議会報告


                                                   06年10月

9月26日に臨時国会が開かれ、小泉内閣に替わり安倍晋三新内閣が発足しました。戦後生まれの総理大臣は初めてということです。

 安倍首相は、実質意的な総理大臣を決める自民党総裁選挙で、新憲法制定、教育基本法の改正、共謀罪創設など、小泉内閣でできなかったことを推し進めることを政策として掲げ、自民党内で60%を超える支持を得て,総裁に就任し総理大臣に指名されました。

 新聞紙上の論評によれば、発足した新内閣は論功行賞が目立つ「守り」の人事とか、仲良しグループ内閣と言われています。また、小泉内閣の「負の遺産」をどのように処理していくのか、政策転換の機を逃がすなとエールも送られています。一方、野党側は今日までの言動から、希に見る反動、タカ派内閣とレッテルを貼り対決姿勢を明らかにしています。

 5年半にわたった小泉内閣による構造改革路線は、年収200万円未満の勤労者が20%にもなろうとしていたり、年金・医療・介護や福祉を改悪し、格差社会を一段と拡大させてしまいました。小泉路線の継承も打ち出している安倍新内閣が、私たちの生活をどうしてくれるのかきちんと見守り、国政に参加する機会には、正しい判断をしていかなければなりません。

 

 

9月定例議会の報告 


 9月定例議会は9月7日から29日までの23日間ひらかれました。主な内容は、平成17年度各種会計決算認定と、一般会計総額3億411万9千円の補正予算、条例6件等でした。

 補正予算に反対討論

市民に対し厳しい財政状況と訴えているのに

「あれも、これも、それも」の予算付け

 私が補正予算案に反対した理由は、3点について本当に市民の立場に立ち選択された「あれか、これか」の税金の使い方ではないとの判断をしたからです。

 1点目は「もったいない運動の標語募集を全国展開するための謝礼等の増額」の予算10万円。

 「もったいない運動」は今年度から市長が提唱し、普及のために作文や標語を市民に呼びかけて募集しています。そのことを全国に広げるための費用が計上されました。たとえ10万円でも、全国にばらまくより市民のために使うべき、まさしく「もったいない」そのものです。

 2点目、新たに消防職員の階級昇任試験を実施するための費用48万9千円。「階級昇任発令基準の明確化」のために必要とのことですが、「階級昇任」は従来から内規に基づいて行なわれており、公正公明に行うのは監督者の責任、厳しい財政状況であるのに今後ずっと外部委託でお金をかける必要があるのか。

 3点目、県指定文化財「八丁鎧塚」古墳出土帯金具3種類のレプリカ作成費用100万円。利用目的は、学校での歴史教材として全国的にも希少な出土品を、実際に手にとって触ってもらうためとしていますが、壊れてしまうものではない、どこかへ行ってしまうものでもない、何故この時機に補正予算まで組んで必要なのか、全く計画性のない「思いつき」と言わざるをえない。

 

 私が問題にしたのは、補正額のわずか0.5%にすぎない159万円余です。市民サービスのどこに貢献しているのか、どのような市民要望があったのか全く理解できません。市長が機会あるごとに説明している「選択と集中」「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも、それも」の予算計上であり、市長の基本姿勢に照らし合わせても認めることはできませんでした。本会議での採決の結果は、1対22でした。
 (本会議での反対討論はこちら)

 

平成17年度決算の状況(一般会計)

歳入合計  188  709万1千円

歳出合計  1837,209万3千円

差引額    43,4998千円(実質繰越額35,8422千円)


歳出の内訳                 (単位:決算額 千円  前年比・構成比 %)

性 質 別

決算額

前年比

構成比

前年構成比

説   明

消費的経費

人件費

4,480,618

95.14

24.39

25.71

給料・報酬・退職金等

物件費

2,373,825

102.20

12.92

12.68

備品購入費等

維持補修費

210,618

108.11

1.15

1.07

施設管理・補修等

扶助費

1,902,451

105.31

10.35

9.87

生活保護・福祉給付金

補助費

1,209,678

95.86

6.58

6.88

団体・事業の補助金

小計

10,177,190

98.85

55.39

56.21

 

投資及びその他

普通建設事業費

1,862,850

135.52

10.14

7.50

 

公債費

2,494,641

81.80

13.58

16.65

借入返済・利子

積立金

277,892

59.82

1.51

2.54

基金への積立金

投資及び出資金

51,030

104.51

0.28

0.27

 

貸付金

1,480,440

116.07

8.06

6.97

 

繰出金

2,028,050

114.27

11.04

9.69

特別会計への支出金

小計

6,332,053

95.75

44.61

43.79

 

合    計

18,372,093

100.32

100

100

 



岩田修二の一般質問と答弁  要旨

 

●平成17年度決算について(市長答弁)

質問 決算における税金の収納率低下原因の分析と、具体的納税対策についての考えは。

答弁 地方の中小企業はまだ景気回復には至っておらず、営業不振による滞納の増加と考えている。本当に困っている人の相談を受けるため、夜間納税窓口や日曜納税相談窓口の開設についてPRに力を入れ、収納率の向上に努めていきたい。

質問 地方交付税が大幅に増加した要因について、市民にもわかるような説明を。

答弁 予算編成時には前年と比較し減額と試算したが、補助金の一般財源化、起債償還額の増加が算定されたため、結果として約6%の増となったもの。

質問 国民健康保険特別会計における積立金や繰越金の額が、国保税引上げの理由としたシミュレーションと大きくかけ離れている。どう説明するのか。

答弁 保険給付費が予測を下回った原因は、被保険者数の減少、診療報酬の引き下げなどが考えられる。また、市民に対する健康づくり事業の充実を図ってきたことも要因と考えられる。

質問 今後の国保税負担の考え方は。

答弁 平成20年度に医療制度が大きく変わるため、現時点では不透明。今後財源が不足する際には,税率改正に頼らず市民の理解を得られる範囲で、法定外繰り入れも検討していく。

 

●保育所あり方検討懇話会提言について(市長答弁)

質問 過去の質問で保育所に関することは、「懇話会」の提言まちとの答弁が多かった。今回の提言を受けてその考え方について。

答弁 公立保育園の統合については、一小学校区一保育園を目指し、定員は150名を超えないこととしたい。民間活力の導入については、関係者の理解や合意を得ることをはじめプロセスを重視することが大事と考える。保育士配置基準の見直しについては、多額の費用を要するため、今後の施策を検討する際に考慮していきたい。

質問 懇話会提言を受けての今後の進め方は。

答弁 公立保育園の統合及び民間活力の導入を一体的に考え、保育所運営審議会をできるだけ早く開催し、統合を予定している保育園の保護者、地域の意見を十分聞きながら進めていく。

質問 施設そのものが老朽化している保育園は一刻も早く改修が必要だが、今後の計画は。

答弁 公立保育園12園のうち10園は老朽化している。現在、小学校耐震補強工事と中学校体育館・武道場建設を平成22年終了予定で計画的に進めている。保育園の施設整備はそれ以降。

 

●公契約条例の制定について(総務部長答弁)

質問 「公契約条例」とは、公共事業の現場で働く全ての労働者に対して、賃金の最低基準額を条例により保障するという考え方で、公正労働基準、環境や福祉、男女共同参画など社会的価値の実現を追及するとともに、自治体だけでなく事業者の責務についても定めることが必要とされている。この趣旨に沿った「公契約条例」を制定する考えはあるか。

答弁 現時点では現行法制度の適正な運用により対処し、新たな条例制定ではなく極端な低入札の防止を目的としている低価格入札審査制度などによって、労働者の賃金や労働条件が適正に確保されるよう徹底を図っていきたい。



 

民間活力導入計画

          児童センター・児童クラブ、

学校給食センター調理業務


                                平成20年以降順次委託実施

 

 須坂市行財政改革チャレンジプランに基づき、民間において提供されているサービス、代行できる業務は、行政関与の必要性、市場原理の視点から見直し、民間委託、民営化を進め、効率化を図ることを目的とした「民間活力導入計画」が議会へ説明されました。細かな内容は、市報10月号に掲載されていますが、市内12ブロックで開かれている「地域づくり市民会議」でも説明されています。

 この計画を進めるにあたっては、多くの問題があります。最大の問題は、いずれの計画も子どもたちのために行なわれている事業が対象となっていることです。今年発行された「どきどき、わくわく、子育てガイドブック」に市長は「何にも勝る子育てに力を入れます。」と寄せています。民営化を進めることが「何にも勝る子育て」施策なのか私には理解できません。

 自治体が進めている民営化の最大の目的は、人件費の削減にあります。民営化によって安い給料で働かされる人が増え、所得の格差がますます広がっていきます。生活の安定、身分の安定があってこそ「何にも勝る子育て」ができるのではないでしょうか。

 

 保育所の今後のあり方についての提言

 

 須坂市保育所あり方検討懇話会(会長近藤幹生県短大専任講師)は、8月25日市長に協議結果を受けて提言をしました。主な内容は以下のとおりです。

 

◎公立保育園の統合について

・既存の統合計画は、社会的情勢が変化していることから、より現実的に検討する必要がある。

・原則として一小学校区一保育園を目指し、150名を超えない定員とする配慮が必要。

・統合が検討される地域の住民、保護者、職員(保育士)、市内の私立保育園・幼稚園設置者など,幅広い市民の意見を十分把握しながら進めていく必要がある。

 

◎保育園への民間活力導入について(民間活力導入を進める際考慮していただきたいこと)

・公立保育園の役割、財政課題、今後の見通しなど行政内部でも合意を得る必要がある。

・担い手は、子どもの発達を保障することができ、高い公共性を持つ非営利の社会福祉法人・学校法人とする必要がある。

・保護者、保育士、地域住民など関係者の理解や合意を得ること、また過程を重視すること。

 

◎保育士配置基準の見直しについて

・市の財政状況や場合によっては県へも要請する必要性を踏まえながら、基準を緩和する方向で進められるよう、懇話会全員の意見が一致した。


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