平成18年9月定例会


補正予算案に対する反対討論

 ただいま議題となっております、議案第76号平成18年度須坂市一般会計補正予算第3号について、反対の立場で討論をいたします。その理由は、以下申し上げる3点について、本当に市民の立場に立ち選択された「あれか、これか」の税金の使い方ではないとの認識からであります。

 その1点目、環境衛生費105千円です。その使い道は「もったいない運動の標語募集を全国展開するため、謝礼などの増額」との説明であります。「もったいない運動」とは、ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境副大臣「ワンガリ・マータイ」さんが日本の美徳の真髄とも言える「もったいない」を世界に通じる環境標語にしようとしている運動で、市長は18年度施政方針で、市民の参画・共同の基に、総合的な市民活動として「あいさつ運動」「もったいない運動」を行ってまいります。と市民が主体となった活動としての運動展開を提唱し、「もったいない運動」について標語の募集や体験談の発表等を行う費用として5万円を予算化しています。それはそれでいいことですが、そのことを全国展開し須坂市の税金をそこにつぎ込む意味がどこにあるのでしょうか。須坂市のことは須坂市民が決めることに何の不満があるのか理解に苦しむところです。今年度始めたばかりの取組みですから、全国にお金をばらまくより、まず市民に「もったいない運動」を定着させることに税金を使うべきです。この予算計上は、まさしく「もったいない」そのものではないでしょうか。

 2点目、消防費のうち階級昇任試験委託料489千円です。総務文教委員会での私の質問に対して、理事者の答弁は「消防職員の資質の向上、公平・公明性の確保」のために階級昇任試験を導入するんだ、職員の多くから要望があった、更には、この階級昇任試験は市民のためになる、とまで言っています。

 消防吏員の階級については、消防組織法の規定により、消防庁の定める基準に従い市町村の規則で定めることとなっており、須坂市でも「消防本部の組織等に関する規則」に定められていますが、階級の昇任の基準等については従前から内規的なものによって行なわれてきたと聞いております。しかし、消防職員の話を聞きますと、ここ数年の階級昇任の発令が「内規」どおりに行なわれていないとの疑問が出され、そのことが消防職員委員会における「階級昇任発令基準の明確化」の要望につながったとのことであり、要望した職員の全てが階級試験の導入を要望しているということではないとのことでありました。

 厳しい財政状況ではあるが、職員から要望があるからお金をかけてその要望に応えることが市民のためになるという発想なら、行政の全てについて同じ方法をとるべきです。職員全体が無駄を省き創意工夫をしながら事務を進めてこそ、市民からの信頼も受けられるものであり、そのようにすべきではないでしょうか。

 消防吏員の階級昇任についても、従前の内規に基づき行ったものを、職員に情報公開し不都合のある職員には、監督的立場にある職員がきちんと指導することが人事管理の基本ではないでしょうか。その監督責任を放棄し、そこに市民の税金を充てるという考え方については理事者の姿勢を疑わざるを得ません。

 3点目、博物館費のレプリカ作成委託料100万円です。

 説明では、博物館に展示してある、全国的に希少な「八丁鎧塚古墳」出土帯金具3種類のレプリカを作成し活用を図るとしています。活用については、1021日、22日に開催される「歴史シンポジウム」の参加者にレプリカを触ってもらうんだ、その後は、学校の歴史教材として子どもたちに触れてもらうために、各学校へ貸し出すとのことであります。

 「八丁鎧塚古墳」出土品については、積石塚古墳からの貴重な出土品として評価が高いことは十分承知しているつもりです。そのものを須坂市の宝物、日本の宝物として全国に売り出そうという考えを否定するものではありません。しかし、何故今なのか、この9月補正予算なのか、何故130万円もかけたレプリカを作らなければならないのかが、理解できません。実物は博物館に大切に保管されており、今すぐレプリカを作っておかないと壊れてしまう、どこかへ行ってしまうというものでもありません。

 説明された「歴史シンポジウム」の開催は、当初予算編成段階ですでに決まっていたことであり、当初予算説明も受けていますが、この時には、レプリカの作成については全く話題にも上っていません。全く計画性のない予算計上は、「思いつき」「ずさん」と言われても仕方がないのではないでしょうか。仮に「100万円程度なら」というような考えがあったとすれば、市民を愚弄しているとしか言いようがありません。

 

 この9月補正予算の補正額34,119万円のうち私が問題にしているのは、わずか0.5%にすぎない1594千円です。だから許容の範囲といわれるかもしれません。しかし、市民生活にとっても、須坂市の財政運営にとっても貴重なお金であることは間違いありません。

 障害者自立支援法の本格施行に伴う市独自の自己負担軽減策、介護保険における市独自の自己負担軽減策、保育所の修繕等々国や県の補助を受けられない事業課題は山積しているにもかかわらず、私が取り上げた3点については、市民サービスのどこに貢献しているのか、どのような市民要望があったのか全くわかりません。市長が機会あるごとに言っている、「選択と集中」「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも、それも」ではないでしょうか。

 更に、102日から予定されている「地域づくり市民会議」に「厳しい須坂市の財政」と題した資料が提出されようとしています。そこには、『「あれも、これも」から「あれか、これか」への転換、選択と集中により必要な事業を推進』と書かれています。理事者の皆さんはどのような顔をしてこのことを市民の皆さんに訴えるのでしょうか。

 私は、先輩議員から市議会議員の大きな任務の一つは、須坂市のお金をどこに、どのように使うかを正しく判断することだと学びました。そのことは、市議会議員の責任の重要性を的確にあらわしていると思います。

 したがって、わずか0.5%の支出額に過ぎない1594千円ですが、市長の言う、須坂市の基本姿勢に照らし合わせてみても認めることができないものであります。

 以上申し上げ、反対の討論とさせていただきます。議員各位のご理解と、ご賛同を賜りますようお願い申し上げます。


戻る