自衛隊派遣を延長せず、すみやかな撤退を求める意見書提出の請願を採択することに賛成の討論



 ただ今議題となっております請願第17号「自衛隊派遣を延長せず、すみやかな撤退を求める意見書提出の請願」について採択すべきとの立場で討論を行います。

 自衛隊をイラクに派遣する根拠となっている、いわゆる「イラク特措法」の基本計画で自衛隊のイラク派遣期限を1年とし、その期限が12月14日であったこと、そして、政府は十分な国会審議を経ないで自衛隊の派遣期間を更に1年間延長することを決定したことは、議員各位も十分ご承知のことと思います。

 このことについて小泉首相は、日米首脳会談で「独自の支援」を継続するとして事実上の派遣延長をブッシュ大統領に約束しながら、国会では派遣延長についてギリギリまで検討するような、あいまいな答弁を繰り返し、国会での議論を徹底的に回避する一方、防衛庁長官や与党幹事長による「おざなり」のサマワ訪問で「治安は安定」との見解を表明、臨時国会の閉会を待って閣議決定したことは国民に対する説明責任を十分果たしているとはいえず、今日発表された朝日新聞の世論調査でも76%の国民がそのことを指摘しています。

 請願の趣旨の一つでもある、自衛隊の派遣を延長させない部分については、不本意ながら今申し上げたとおりすでに決定されてしまった事項ですので、本討論ではすみやかな撤退を求める事項について、議員各位のご賛同を賜りたいと考えるところであります。

 自衛隊のイラク派遣の問題については、9月定例会にも請願が出され多くの議員から討論がされたところですが、誠に残念ながら本会議の採決で不採択となってしまいました。その際の討論でイラク戦争の状況については明らかになったのではないかと思いますが、改めて私の知る範囲でイラク戦争が何の意味もないものであるかを訴えたいと思います。

 イラク戦争開戦時にその「大儀」であったイラクに大量破壊兵器は存在せず、アナン国連事務総長もイラク戦争の違法性を指摘しています。「大儀」や正当性のない戦争によって、10万人を超えるイラク市民が犠牲となり、5人の日本人の尊い命が奪われた事実も、重く受け止めなければなりません。

 小泉内閣がアメリカの行動を率先して支持し自衛隊を派遣したことは明らかに憲法違反であります。その結果、イラク国民にとって最も友好的であった日本は「敵性国家」となり、日本及び日本人は世界中で報復やテロの対象とされています。そして「人道復興支援」に派遣されたはずの自衛隊の宿営地が8回にもわたって砲撃され、いつ犠牲者が出るかと危惧される状況にもあります。また、アメリカ、イギリス軍による先のファルージャ掃討作戦では、イラク全土に非常事態宣言が発せられたことからも、イラク全土が戦闘状態にあることは誰の目にも明らかであり、自衛隊の活動を「非戦闘地域」に限定したイラク特措法に照らしてさえ、自衛隊がイラクで活動する根拠は失われ、自衛隊をすみやかに撤退させることこそが唯一の選択肢であります。

開戦以後、すでに撤退したスペインやフィリピンに続き、オランダ、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、ポルトガルなどの国々が次々とイラクから撤退方針を決めたように、国際社会はアメリカ、イギリス両軍主導の治安維持に強い疑問を投げかけています。

 更に、自衛隊派遣の目的にあり「人道支援」とされている、医療器具等の提供、公共施設等の復旧、水の供給はほぼその目的が達成され、現地の人々に引き継いで支障がないことが専門家たちの調査で明らかになっています。この点からも、もはや自衛隊を派遣する理由は成り立たなくなっています。

 今日本政府がすべきことは、アメリカに対して、国連憲章と国際協調にそむいた戦争と占領が誤りであったこと、国連を中心とした国際協調によるイラク復興支援に立ち戻ることを、「同盟国」として真剣に説得することではないでしょうか。

 以上申し上げて議員各位の懸命なるご判断を頂くとともに、後ほど提案される予定の「意見書」についても「総務文教常任委員会」では全員のご理解をいただいてところでもありますので、併せて全議員のご賛同を賜りますようお願い申し上げ討論とさせていただきます。


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