平成19年3月定例会 条例の一部改正に対する反対討論

 

 ただいま議題となっております、議案第18号須坂市職員の勤務時間及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例について、反対の立場で討論をいたします。

 この条例の一部改正は、市役所で働く職員の勤務条件を変更することであります。それぞれの事業所における勤務条件の変更にかかわる事項は、労働基準法の精神からも、日本の労使慣行からも、労働組合との合意が前提になっていることは確立されている考え方です。にもかかわらず職員組合との合意のないままに一方的に提案されたことについて、最初から疑問に感じているところです。

総務文教委員会の審査の中でも、労使の合意ができていない問題を委員会で審査すること自体「不愉快である」との意見も出たほどで、理事者側の対応について疑問を感じている議員も多いのではないでしょうか。

 委員会審査の過程では、委員の質問に対し理事者は、職員組合が妥協点を見出さず同じ主張を繰り返しているとして、労使合意に至らなかった原因は職員組合側にあると述べています。また、「交渉を申し入れたにもかかわらず、職員側の主張が受け容れられないのであれば交渉をしても無駄として交渉を拒否された。」との答弁もあり、理事者側の一方的な主張に終始し、職員組合側の都合や意見を全く無視したものであるばかりか、合意に至らなかった理由は全て職員組合側にあると強く印象付ける答弁を繰り返していました。

 理事者が行おうとしている今回のような事例は、どこの文献を調べても該当する事例が見当たりません。それだけ、戦後に民主国家を確立した日本においては非常に希で、強権的な事例であると言えるのではないでしょうか。

 「市民サービスの向上」のためには、働き方についてある程度の制約を受けることは公務員と呼ばれている人たちの宿命かもしれませんが、そのことがイコール、自分のすべてを犠牲にすることとは全く違うことだと私は思います。

 アメリカバージニア州リッチモンド大学教授ジョアン・キウラー氏は、「なぜ私たちは働くのか」と題した講演の中でこう述べています。「企業には、よい人生を指南する必要はありません。きちんとした賃金を払い、十分な休みを与え、仕事で学び成長する機会を与えることで十分なのです。最も大切なのは、仕事の現状について、きちんとした情報を伝達することにつきます。企業には社員が自らの人生を計画できるようにする義務があります。」。また、市長は2006年9月14日付けの「虹のほほえメール」で、市民の皆さんにこう訴えています。それは、「社員は宝」社員を大切にする須坂の企業と題して「市民の皆さんが元気で「いきいき」「はつらつ」「のびのび」暮らしていけるように、須坂市は健康づくり事業の一つとして、企業の取り組みを応援していきます。健康で働きたい方、自分の能力を存分に活かしたい方、須坂の企業は、あなたを大切にする企業です。働くなら須坂だと思います。従業員の皆さんを大切にする企業には大きな力があり、元気があると思います。」

 常日頃の「日本一笑顔の市役所づくり」の掛け声とは裏腹の今回の提案については、理事者が今まで築き上げてきた職員との信頼関係をまったく無にする行為ではないでしょうか。このようなことが今後も続けられるようなことになれば、職員との信頼関係がますます希薄になるばかりか、職員にとって働く意欲の消えうせたくらい雰囲気の市役所へと進んでしまうことが心配でなりません。

 したがって、今回の提案については、職員組合側も提案しているようもう少し時間をかけて協議を進めるべきではないでしょうか。そして、労使合意が整った時点での提案となるよう理事者の責任において努力すべきです。

 以上申し上げ、議案第18号坂市職員の勤務時間及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例については反対するものであります。

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