任意合併協議会への負担金に伴う補正予算に反対し、本会議で行った反対討論

平成15年12月定例議会



ただいま議題となっております、議案第
96号平成15年度須坂市一般会計補正予算第6号について、反対の討論をいたします。

 本補正予算は、そのすべてが須坂市高山村との合併を目指す、任意合併協議会への負担金であることは、その提案説明で明らかであります。

 したがって私は、今進められようとしている合併問題について、私の考えを申し上げ、任意合併協議会を立ち上げる必要がないことを訴えるものです。

 まず大きな問題として、市町村合併は本当に住民のためになるのかという点であります。今全国で進められている合併は、日本の700兆円といわれている借金をいかに減らしていくかという政府の政策であることは明確であり、政府はそれを推進するために合併特例法による、いわゆる「アメとムチ」によって強引合併を推し進めてきています。

 そこには、住民の意思はほとんど反映されておらず、現実に長野県内ばかりでなく全国的にも、合併に関する住民投票やアンケートにより合併を取りやめる自治体が出てきていることは事実であります。

 須坂市においても、住民の意思に関係なく、また、須坂市の将来ビジョンもなく合併が進められようとしています。市長が常日頃口にしておられる、財政をあずかる責任者として合併特例法にある有利な財源は有効に活用していく、そのことだけで合併を推進することは大きな落とし穴があるのではないでしょうか。

 その有利な財源、財政特例優遇措置の内容については改めていうまでもありません。

 私は、この優遇措置が自治体を破産状態に追い込んでいく何物でもないと考えます。

 地方交付税の優遇措置は合併後10年間だけで、それ以後段階的に削減され、最終的には合併しなかった場合より減少することは、当然ご承知のことですし、合併特例債にいたっては、70%が交付税措置されるといっても、借金に変わりはなく30%は自己資金を出さなければなりません。ましては、合併を進めようとしている高山村はほとんどのインフラ整備がすでに完了しているやに聞いております。

 仮に合併して合併特例債を活用するとしたら一体何をしようとしているのでしょうか。

 合併の先進的事例として1999年に合併した兵庫県篠山市では、合併特例債により合併前の各自治体の起債残高合計が、合併後には2倍にふくれ上がり、起債制限比率も5〜10%だったものが12.9%に上昇しています。そして厳しい財政運営を強いられています。

 もしこのようなことを考えているのなら、10年後、15年後の須坂市は借金で身動きが取れなくなることは明らかではないでしょうか。

 一方交付税については制度がどう変わっていくことが見えない現状ですが、政府は自身の借金を減らすために、確実に交付税を減額してきていることは事実であります。合併すれば10年は合併前の交付税水準を維持されることのようですが、それ以降は、今よりもまして厳しい財政状況になることは、十分想像がつくところであります。

 したがって、合併が決して住民益につながらないことは明らかです。

 次に任意合併協議会そのものについてであります。

 その設置の目的に、「合併に関する基本的事項等を協議するため」となっており、その目的から言っても合併を前提とした協議が進められることは当然と考えなければなりません。したがって、任意合併協議会で自立するための協議が行なわれるわけがありません。

 市長が強調しておられる、合併をするか、しないかの資料を住民へ提供することであるならば、須坂市高山村2市村間のことですから、現在も随時行なわれているであろう事務レベルの研究でも十分できるはずです。住民にとっては、負担は安く、恩恵は最大に、が大前提ではないでしょうか。そのことの資料を提供するために合併を前提とした任意合併協議会が本当に必要なのでしょうか。

 それぞれの職員にも大きな負担が掛かる現実も直視しなければならないのではないでしょうか。地方分権により、仕事量は以前より増加してきています。そこに2,000項目にも及ぶとされている課題について、任意合併協議会のための資料作りをすることになります。このことによって、万が一にも住民サービスに影響することはないのでしょうか。

 今回の提案は290万円程度ですが、新年度はいかほど予定されているのでしょうか。財源的には合併特例法により、特別交付税に算入されるとされていますが、補助金として直接交付されるものではありません。

 以上申し上げましたが、住民益につながらない合併協議を進めるための任意合併協議会の立ち上げに異論を唱えるところであります。したがって、提案の負担金の支出については反対するものであります。

 議員各位のご理解と、ご賛同を賜りますようお願い申し上げ、討論といたします。


戻る