No 21 (04.12.19)
                                           作 麻衣奈さん


        クリスマスローズを抱きしめて


     君は憶えているだろうか
     
     99年後 クリスマス・イブの夜
     もう一度 迎えに行くと約束したね
     
     車に魔法をかけ ロータスに乗り
     クリスマスローズの甘い香りを手掛かりに
     僕は君に会いに行くよ

     そう今夜 見果てぬ夢の中で
     あなたとの再会の時を迎える

     クリスマスローズを抱きしめて
     どうかあなたに私だとわかるように
     シャンパンの弾ける泡に願いを込めて



    
                    
                           



                         No 20  (04.12.04)
                          作 麻衣奈さん 


   “サンタクロースに会いたくて”

  寒い冬の夜空に
  満月 ひとつ
  浮かんで見えた

  月明かりの中に咲く  
  季節はずれの
  エンゼルトランペット

  ただ ひたすらに
  信じて咲いてる
  いつもとは違う季節だけれど

  サンタクロースに会いたくて・・





  


                                         No 19 (04.10.03)
                                          作 サリー さん


      水辺にて

   秋風の中に身をまかせ
   今日も来てしまったこの湖
   貸しボート屋も別荘も
   板切れ一枚を残して去って行った

   あの人とふたりで乗った
   白いボートも桟橋で
   黒い腹を見せて眠っている
   小さな波は
   北からくる風に消され
   もう戻らない夏をいとおしむ

   あなたに言い忘れた
   「さようなら」を
   今ここで言ってしまおう
   涙を見せずにはっきりと
   たとえ これから
   どんな悲しみと出会おうとも・・・







  


                                         No 18 (04.09.05)
                                          作 麻衣奈 さん


     時 の 断 章

   心 の ま ま
   溢 れ る 想 い の
   す べ て を
   海 の 中 へ と
   溶 か し て ゆ く


   す る と
   海 は 変 色 を 重 ね な が ら
   や が て は
   涙 色 へ と 染 ま り ゆ く

  
   そ の 時
   時 の 断 章 は
   優 し い 風 に 包 ま れ な が ら
   過 ぎ し 流 れ に
   移 り ゆ く




                                        No 17 (04.07.31)
                                          作 サリー さん

       チャレンジ


     思わぬトラブルに遭遇するたび
    必ず自分のしてきたことに
    何がこうさせてしまったのかと
    関わりもない小さな事すら取り出して
    自分の怠慢から導いてしまったと
    自責の念に苦しんでしまう

    生きている限り
    そんな平穏ばかりではないはずと
    知りつつも
    若干42才の女が
    まるで地の底へ落ちていくような
    マイナス思考は
    いつから備わってしまったのかと
    情けなくなる

    この難関を試練だと思い
    逃げ隠れするのではなく
    真正面から
    堂々と立ち向かったならば
    その向こう側には
    僅かでも強く賢くなった自分が
    待っているのではないかと
    そう思えたらならいいじゃないか

    少なくとも
    この壁の高さと
    この厚さぐらいは
    時間をかけて乗り越えられる
    それぐらいの時間と
    精神力を
    持ち合わせているのだと
    自分を
    信じているのだから
  


                                        No 16 (04.07.06)
                                          作 麻衣奈さん

       風景の中の二人


     刻み込まれたCDのキズを指でなぞる
    あなたへの想いを爪跡に残して
    そんな終わり方しか出来なかった恋
    あれから何年過ぎようと消えないまま
    ずっと大切な想い出として私の傍に

    あの頃二人で聴いた♪FATHER'S SON
    あのMELODYが流れる度に私の心は
    あなたへの想いでいっぱいだった
    もうあれから2度と聴けないままの
    傷跡を残したアルバムの3曲目

    友達のまま過ごした季節は輝いて
    今でも二人の笑顔が眩しく見える
    共に過せる僅かばかりの時間だけ
    必死に繋ぎ合わせていたあの頃
    
 
    あの時から・・・
    二人の時間はもう流れる事もないけれど
    
    どんなに時が流れても
    どれほど街が変わっても
    目を閉じたそこには今も変わらず
    二人の過ごした街がそのままに




                       
                        No 015 (04.06.19
                         作 gosho damaha さん


      8番目の虹の色

     ベランダで煙草1本分の
     幸せを過ごす夜
     君には見せられない
     俺の寂しげな顔

     今は見えない
     いつか染まる色を
     見届けたい
     八番目の虹の色

     ガソリンのように減って消える
     微笑みと時間さえ
     金には替えられない
     悲しみも虚しさも

     今は無くても
     いずれ何色かに
     染めてみよう
     八番目の虹の色






                            
                                      No 012  (04.05.16)

                                     作 gosho-damaha さん

         無題

    
      窓からは5月の風
      ナビシートにギター
      バックシートにはわずかな荷物
      やりきれない思いを乗せて走りだす

      あいつは俺の知らない男(やつ)と
      あの街で幸せをつかんだ
      行き場を失った俺は
      どこに進もうとしているのか
      未来の地図は見つからない

      人を愛しても
      どこかで打ち砕かれ
      そしてまた独り
      いつか見たあいつの笑顔だけで
      今はいいはずなのに 



                                 gosho
-damahaさんは
                                      30代 男性の方です


      

                            
                                      No 011  (04.05.01)

                                         作 麻衣奈 さん

       レモン白書 '82

    御茶ノ水 聖橋の上にて
    男女5人が 再会していた
    それぞれ 片方の手には
    レモンイエローの塊が ひとつ握られ
    私達のこれからを決める為の
    「18歳の審判」が始まろうとしていた
   
    実った恋が実らなかった恋を
    申し訳なさそうに見つめている
    両思いと片思い
    届いた想いと届かなかった想い
    叶った願いと叶わぬ願い
    
    たとえそれが、
    友情と引き換えの愛だったとしても
    それは誰の所為でもなくて・・・
    若さの真中でそれぞれに心揺れながら
    その審判の時を迎えていた 
 
    もし 誰か一人でも掌の中のそれを手離したなら──

    次の瞬間 無言の時を打ち砕くように
    一個の レモンイエローの塊が
    彼の掌から勢い良く 宙に投げ上げられ
    まるで スローモーションのように
    大きな放物線を描がきながら
    水面の中へと消えていった

            ──それは 私達の「別離」の合図だった

    あの日から私達は
    たとえ別々になろうとも
    ひとつの想い出を礎にして
    それぞれが選び抜いた道を
    ゆっくりと歩き始めていた


                                        

     
                                      No 010  (04.04.10)

                                         作 Maika さん


          『ふたりの星』

      出合った頃に戻りたいと

      君は泣いたけど

      僕にはもうどうする事も出来なくて

      あんなに笑い会ったふたりなのに

      今では何を求めているのか

      互いに分からなくってしまったね


      ふたりで眺めた ベランダからの星は

      変わらずに輝いているというのに・・・


      君は今でも眺めているかい?

      そこに僕がいなくても・・・

                                          
 
                                        Maikaさんは
                                                    20代の女性の方です

 

                              
                                      
No 009  (04.04.03)
                                             
                                         作 はっちさん 


      冬の朝陽

  夜の出口 まっさらな空気の中
  重くたちこめた シルバーグレイの
  雲の間に
  薄い朱色の物体
  「私はいつもここにいるよ」と
  冬の太陽
  やわらかい光を
  わたしにそそいでいる
  寒い つらい冬を はるか天上で
  見守っていてね




                     
はっちさんは
                       年齢??女性の方です


        
  

                                      No 008  (04.03.15)

                                           作 麻衣奈さん 



        菜の花畑の午後   


    細くなだらかな坂道を登りつめると

    そこに黄色い菜の花畑が見えてくる

    紋白蝶がひらひらと上がったり下がったり

    菜の花の上を忙しそうに舞っている

    それをすぐ隣の 大きな青いネギ坊主達が

    羨ましそうに眺めている 静かな春の午後の風景
    
    背中の赤いランドセルを降ろすのも忘れて・・・



                                                                             
                                         No 007  (04.02.14)

                                       作 麻衣奈さん


           青い空に雲が浮かぶ

   
      青い空に雲が浮かぶ 大きな雲や小さな雲

      ぽかり ぷかり ふわふわと
 
      ぷかり ぽかり ふわふわと

      電車の窓から 空低く浮かぶ雲を眺めていた 
    
      浮かぶ雲に何処へ行くかと 訊いてみた
   
      それは風だけが知っていることさ

      僕等は行く先を 決められない
   
      何処へだって 流れて行くさ

      どんな場所でも 自由気ままさ




                                  
                                        No 006  (04.02.06)  
 
                                        
作 サリーさん
     転  機 

                                  
  時はいつも無言のままで
  それでも
  『今』と違う時を示す

  逆さになっても
  どこをさぐっても
  現れるはずもないと思っていた
  それは
  勇気とも度胸とも言えない
  とるに足らない小さなものが
  やっと背中まで伸びた
  ソバージュの髪を
  意図も簡単に切り落としていた

  何でもいいから
  変わりたかった
  いや気がした昨日の自分とは
  すっぱり縁を切りたくて・・・

  でも
  時はまだ無言のままで
  心の奥深く沈んだ
  ただのむなしさだけがとり残されて
  青ざめていく

  アンバランスな
  自分が
  鏡の中にも
  もうひとりいる



                                     No 005 (04.01.23)
  
                                        作 麻衣奈さん

        早春の雨上がりに

                                     
     雨に濡れた木々達の水滴が
    陽光に照らされ虹色に光る
    早春の雨上がりに懐かしい曲を歌う
    まだ若い頃のあなたの声を聴いている

    夢を携えて ギター爪弾く あなたの姿を
    いつも見つめ続けていた
    若さという時間のほかには 何も持たず
    明日だけを信じていた あの頃

    あれから どれくらいの時が過ぎ去ったのだろう
    あなたは どれくらいの夢を手に入れたのだろう

    辿り着いた明日が描き出したものとは──、
    信じて求めた明日には一体何が見えていますか

    早春の冷たい風が木々達を
    揺らしながら吹き過ぎてゆく
    優しい春はその足音を響かせながら
    もうそこまでやって来ている

    変わらずに 進み続ける あなたの姿を
    いつまでも見守り続けたい
    若さという時間はもう失いけれど
    手にした夢を携えて 明日へと


 作    サリーさん

            
                                          No 001(03.12.04)
                                             

          
しゃぼんだま

          とがったこころもまあるくして
         ふるえるこころも まあるくして
         やさしさだけをのこしてゆく     
         
         ちっぽけな じぶんが
         ちっぽけな せかいのなかで
         ポツンとたちすくむ
         うまれでる すべての わ のなかに
         さびしげな じぶんのすがたをうつしだす
          とおいところへなんか
         とべるはずがないのに
         たかいところへなんか
         あがれるはずがないのに
         みるものすべて まあるくして
         それでもまだうつそうと
         よくばるじぶんがいる
         よくばりすぎて
         はじけてきえるのは
         かなしみだけならいいのに
         やさしさの わ のなかの

       
じぶんもはかなくきえてゆく




作者の意向で、ひらがな表示となっております
     サリーさんは40代の女性の方です

                                           
                                       No 004 (04.01.16)
                                         
                                            しむさん

    冬の旅仕度 に答えて

 人生は旅だというけれど、
 不安という手荷物を抱えて、
 発車時刻を待つのは長い。
 向いのホームに到着した電車に乗り換えたくなる。
 でも、足が動かない、動けない。
 重い荷物だけ、向こうの電車に放り投げてしまおう。
 私は私。身体一つで充分。

 出発のベルが鳴る。
 走り始めた車窓から見える景色を見ながら、
 今までの自分が蘇る、涙があふれる・・・。
 居心地の悪い空気を少しづづ吸い込みながら、
 走り去る景色をぼんやりと眺めている。
 次第に風景が変わって行くのに夢中になる。
 確実に変化している自分の居場所を。
 その内涙も止まっていた。
 そして、大きく深呼吸している自分がいた。
 それは、確かに自分だった。

 不安は尽きないけれど、

 
不安を希望に変えて行こう。

                                 しむさんは30代 女性の方です

                              
                      
No 003 (04.01.10)

                           作 のりおさん

     
むぎこき               

  きょうは むぎこきだ。
  かあちゃんは 朝から いそがしい。
  むぎが たくさんつまれた。
  だっこっきが まわる。
  すごい音で きかいが まわる。
  いよいよ 始まった。
  「ざあ ざあ」 といって
  むぎが たまった。
  みんな いそがしそうだ。
  ごみを とる人。
  むぎを だっこくきに 入れる人。
  みんな いそがしそうだ。
  やっと一けんおわった。
  また つぎの家だ。
  「あっ」
  きかいの こしょうだ。
  おじさんが、
  いっしょうけんめい なおしていた。
  やっとこさ なおった。
  また いさましい音が きこえた。



         この詩は、父が小学校4年生の時に書いた詩です。
         昔の田舎の風景が浮かんできます。
         僕たち子どもにとって、素敵な宝物を見つけました。

                                    かずさん・さとこさん  

                                             20代の方です。 

                                                   
                                          No 002 (03.12.20)

                              作 麻衣奈 さん


      
冬 の 旅 仕 度


      革カバンに旅仕度を整えたら旅へ出よう

     コートを羽織り身支度をして冬風景を探しに行こう

     公園のベンチに腰掛け見上げた空は抜けるような青さで

     澄み渡りその何処にも不純物を含まない新鮮な空気を

     胸いっぱいに吸い込んだら冬の旅へと出掛けよう


                            

                               麻衣奈さんは 30代の女性の方です。


                        No 013 (04.05.22

                        gosho-damaha さん

      君よ

     いつか俺にも
     幸せなんてくるのかな
     叶わない夢を
     ちょっとだけ実現したいんだ

     さしのべてくれないか
     見つめていてくれないか
     少し頼りないけど
     君を愛することを
     生きがいにしたいんだ

     やがて陽が暮れ
     夕日も落ちて終わってく
     疲れを残して
     明日へと旅を続けていくんだ

     抱きしめてくれないか
     笑いかけてくれないか
     あまり稼げないけど
     君しか癒すものは
     他にありはしないんだ



                       
                       No 014 (04.05.29
                         麻衣奈 さん

    「 迷 う 心 を・・・ 」


  部屋の明かりを消して

  お気に入りの曲を聴きながら

  迷う心の答えを探している


  その想いを掻き乱すように

  上空をアメリカの空軍機が

  けたたましい音をたてながら飛んでゆく


  時折暗い部屋の壁に差し込む光

  まるで何かを合図するかのように・・・

  地上に迷う者の心を導くかのように・・・

   
  それは──、
  
  灯台からの優しく照らされる灯りで

  誰もが等しく幸せに辿り着けるよう

  見守る道標としての光のようにも思えた


 サイレント・ムーヴィー   
        
みんなの ポエム 2003.2004

詩 人 の 鐘

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