詩人の鐘
                     省美のポエムをお届けします

                              No 24
                               04.06.26

  陽炎(かげろう)

夕暮れ時の
商店街から漏れてくる
優しい灯りに
陽炎を見た

ゆらゆらと
立ち昇るその灯りは
一日の疲れを癒してくれそうな
不思議な力を持っていた

花屋の店先で立ち止まると
季節を先取りした夏の花が
私の手に取られるのを
じっと待っているかのようだった

かすかな
花の匂いと陽炎は
忘れかけていた
優しさを
気づかせてくれた

いつもはそのまま通り過ぎる
いつもの商店街・・・
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詩人の鐘

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                                 No 23
                                 04.06.19


  花びらが散って


咲き誇った時は
はかなく もろい

花びらが散って
心の模様も 
ひとつ 離れてゆく

風に舞い
高く 高く 吸い込まれてゆく

取り戻すことも
手を延ばすことも 
出来ないまま
私は
小さく 小さく うずくまる




                                  

                                  No 22
                                  04.06.12

   微笑み

その微笑を
心の支えにして

その優しさを
夢に変えて

その逞しさから
勇気をもらって

明日に
希望があるように

明後日の私が
同じように
微笑むことができるように

星に祈りながら・・・


                                      No 21
                                      04.06.05

        寂しくて

    昨日までの夢も
    明日からの希望も
    空っぽな心からは
    何も見つけ出すことが出来なくて

    あんなに楽しかったのに
    あんなに満たされていたのに
    掬い取れるものは
    寂しさだけ
    
    すべては、
    時が過ぎるまで・・・

                                      No 20
                                      04.05.29


        雨降りの夜は
  
     ため息の奥深く
     忘れたはずの愛しさが
     自分を苦しめる

     雨音が
     誰かの呼ぶ声に
     聞こえた気がして

     見上げても
     暗闇の中に 降り続く雨

     こんな夜は
     もう一度
     ため息の奥深く 
     苦しさを しまい込むだけ・・・
  


                                      No 19
                                      04.05.22

    
    君の心

  君は何を想う
  空を見つめて・・・
  海を見つめて・・・
  その優しそうな瞳で
  その輝ききるまなざしで

  君は何を想う
  「ありがとう」と言った時
  「さようなら」と言った時
  その涙のこぼれそうな瞳で
  その淋しそうなまなざしで

  僕には何も出来ない・・・

  優しく包み込むことも
  こぼれる涙を拭いてやることも
  君の言葉に
  ちゃんとした返事さえも

  流れる髪が泣いている
  細い肩が泣いている
  白い指先が泣いている
  
  その冷め切った心を
  暖めてやることも

  その悲しみを

  和らげてあげることさえも

                                       No 17
                                       04.05.08


    涙の海に沈めたら

  悲しい想いを
  涙の海に沈めたら

  深く沈んだ底にある
  綺麗な石のすぐそばで
  じっと 静かにしているわ

  悲しい想いは
  少しづつ
  涙の海に溶け込んで
  いつしか
  海の一部になってゆく

  たとえ
  波間に出てきても
  それは 涙の切れ端
  もう 悲しさなんて
  見つけることも出来ないの  

                                     No 18
                                     04.05.16


    四つ葉のクローバー

  
  「こんなもの もういらない」
  そんな気持ちで
  破り捨てた日記帳には
  幸せを願う私が
  詰まっていたはずなのに・・・

  こなごなになった紙切れが
  褐色の
  四つ葉のクローバーと一緒に
  舞い落ちる

  心に降りしきる
  過去の自分を
  振り払うかのように・・・
    

   04.05.01

                                   No16



   ずっと ずっと ずっと・・・


あなたと一緒に
生きてきた

急ぐ時も
ゆっくりな時も
走った時も
ずっと ずっと 
一緒だった

たとえ傍にいなくても
その思いは変わらない

どんなに 時が流れても
どんなに 季節が変わっても
あなたへの思いは 変わらない

これからも
一緒に 生きてゆく

ずっと ずっと ずっと・・・

(無断コピー、転載、転用禁止致します)

                                   No 14
                         
                                  04.04.03


  青空

吸い込まれてゆく
青空の彼方

宙に舞う
青空の片隅

白い雲と
心地よい風に
身を任せて
太陽を背に
地球を一回り

何処に行っても
青空だけの
透明な光


私は光りの中





                                   No15
                          
                                 04.04.10


     媚薬

  孤独なんだろう・・・と
  言われた気がした
  闇の中

  寂しいんだろう・・・と
  聞かれた気がした
  風の中

  思わず 
  ふりかえってみても
  誰もいるはずもない

  傘にあたる 
  たくさんの雨たちに
  支えられてる気がした

  雫の
  ひとつひとつが
  心やすらぐ媚薬のように