岩田修二の市議会ニュース    2008年4月



ガソリンの値段がどうなるか、やきもきしている方が多いのではないでしょうか。ガソリンの値段は本来の値段に、道路を作るための財源として25円程度上乗せされて販売されています。そのことを定めた「租税特別措置法」という法律が3月31日に期限が切れてしまいました。そのことが「道路特定財源のゆくえ」として日本中大騒ぎになっています。

そもそも道路特定財源とは、「受益者負担」の考えから道路の利用者である自動車の所有者や、その燃料を使用した人が道路の建設・維持費用を負担する仕組みとして、昭和29年にスタートしました。当時は暫定税率として2年間の特例でしたが、今日まで延長が繰り返されてきました。そしてまた10年間延長しようとしています。

 道路特定財源は、その使い道が道路の建設に限られるため、地域によっては必要不可欠な財源になっていますが、多くは高速道路の建設や「本四連絡橋」のような大型事業に使われてきています。地方に回る財源は国の「さじ加減」によるところが大きく、国が地方を支配する温床になっています。「一般財源化」の主張は、こうした国の支配をやめさせ地方がその地域の実情に応じて自由に使える財源として均等に配分すべきというものです。

 ガソリン税の上乗せを止めれば財源が不足しますが、それは今の不公正な税制を見直せば十分に確保できるとの試算もあります。本当の地方分権を実現するためには、現在の道路特定財源を含めて、地方が自由に使える財源の拡大が必要ではないでしょうか。

  

 

 3月定例議会の報告

 

 須坂市議会3月定例会は、2月26日から3月25日までの29日間開かれました。

県内では唯一須坂市だけ、報酬年600万円の

「参与」は本当に必要なのか

 市長は、須坂市政の円滑な推進を図るためとして、新たに特別職の「参与」を置くことを定めた条例を提案しました。具体的には、須坂市の最重要課題である廃棄物最終処分場問題、風力発電問題、湯っ蔵んど経営問題を解決するために是非必要とのことです。私たち「市民21」は、

1 厳しい財政状況といいつつ、新たに600万円も支出する「参与」の設置は市民の理解が得られない。「参与」の設置は市民が望んでいることなのか。

2 新規採用を控えるなどして市職員を減らしていながら、新規職員2名分に当たる報酬を支出してまで「参与」を設置して、市長の仕事を行わせることは時代に逆行している。

3 最重要課題だからこそ、須坂市のリーダーである市長自らが課題解決に取り組むべき。「参与」の設置は市長の責任を放棄するものだ。

との理由から、「須坂市参与に関する条例」と関連する報酬等条例の一部改正には反対討論と修正動議を提出しました。

 採決の結果、8対11でいずれも原案可決となりました。市長を支持する議員諸氏は、賛成理由を明確にするための賛成討論もなく、「市長が提案するものには全て賛成」との不文律が働いているようで、大変残念な結果でした。

 

平成20年度予算

  「あれも」、「これも」の予算編成に疑問

最終日本会議で、予算案に対する反対討論

 

 私たち「市民21」は、予算特別委員会において平成20年度須坂市一般会計予算案の「組替え動議」を提出しましたが、否決されてしまいました。そのことから、本会議において予算案に反対の討論を行いました。討論の主な内容は、

1 市長が言う「一般廃棄物最終処分場問題」「峰の原風力発電施設建設計画」「健康福祉ランド経営問題」が最重要課題であるなら、須坂市のリーダーとして市長自らそれらの課題解決に取り組むべき。他市に例のない「参与」の設置は本当に住民が望んでいることなのか疑問。

2 予算付けの優先順位の問題。災害に強いまちづくりを進めることは、全国の自治体の共通の課題。災害に強いまちづくりの基本は、災害が起きてもそれに耐えられるまちづくりであり、災害が起きた後のことが優先されるまちづくりではない。そういう意味では「災害対策本部中継対応整備事業」はまったく的が外れた事業と言わざるをえない。

 3 今までの、「選択と集中」「あれか、これか」はどうなってしまったのか。平成20年度一般会計予算案には、果たして本当に今しなければならない事業なのかを疑わなければならない事業への予算付けが多すぎる。

 議会最終日の一般会計予算案に対する反対討論


 国民健康保険税  値下げ改定

納期も8期から9期へ

 長野県内でも高額になっていた国民健康保険税が、平成20年度から値下げ改定されます。これは、2004年度(平成16年度)に、24.56%の大幅増税を行ったことにより、国保会計に余裕ができたこと、また、医療給付費の伸びが予想を下回ったことなどにより、基金(貯金)が増えたため、今後の国保会計の見込みを推計して、値下げを行うものです。また、納期も7月から3月までの9回に改正されました。



岩田修二の一般質問    要旨

 

●市長の行政運営について(市長答弁)

質問 2期目に当たって市長が重点的に取り組みたいことは何か。

答弁 市長選でのマニフェストに掲げた22の政策を実現するため、厳しい財政運営ではあるが市民要望を的確にとらえ、優先順位をつけて事業を行っていく。

質問 職員には目標管理による人事評価制度を導入しておきながら、市長は「結果が全て」のような言い方をしている。矛盾してはいないか。

答弁 公の選挙で、不確実な数値を用いて有権者に政策を約束することが、必ずしも誠実とは思わない。

質問 地方公共団体の仕事の7割は国の仕事で、地方自治体の独自性を発揮できる仕事は3割にすぎない。3割の事業に予算をどのように配分するかが市長の手腕ではないか。新年度予算案には優先順位に疑問を感じる予算措置がされている。とりわけ「参与」にかかわる予算は誰もが疑問をいだいている。

答弁 山積する課題を先送りすることなく解決するために「参与」を配置していく。

 

●子どもたちの未来と幸せを願う政策について(市長答弁)

質問 保育所運営審議会答申による、新設民間保育所建設の進捗状況は。

答弁 公募により須坂南保育園に変わる新設園の運営や事業展開等についての方針を提案いただき、審査のうえ事業者を選定していきたい。

質問 児童センター、児童クラブの登録児童数に大きなバラツキがあり、登録児童数が80人を超えているところもある。施設的な問題も含めて、登録児童の増加にどう対応するのか。

答弁 学校施設の改修や学校近くの施設利用、民間企業への委託などを検討している。また、学校との連携を図り、体育館やグラウンド、特別教室の利用の他、近隣の公園や遊び場等の利用するなど、創意工夫する必要もあると考えている。

質問 子育て支援センターの機能充実は、「参与」を置くより優先されることではないか。

答弁 従来からの児童センターとしての役割と、子育て支援センターとしての役割を担っているが、支援センター機能の充実に向けた新規事業の実施にあたっては、全体の事務事業の見直しをしていく。

 

●塩野浄水場民間委託計画について(水道局長答弁)

質問 塩野浄水場の民間委託に関して、市民にどのように説明したのか。

答弁 2月に開催された市民代表組織の須坂市行政改革推進委員会において審議・了承されており、これにより市民合意を得ていると考えている。

質問 技術の継承を理由に挙げるならば、民間委託化で毎年受託業者が変わる可能性もあり、経費の削減につながるかも疑問だ。

答弁 計画では契約期間は複数年度を予定し、受託者が変更になっても支障をきたすことのないようにする。経費については、競争原理に基づき入札を行い削減につながればと考えている。

質問 命の源である水の安全・安心を担保するためにも直営を堅持し、予算は撤回すべきだ。

答弁 本案の委託業務は、塩野浄水場における24時間運転監視及び巡回点検が主な内容。安全性にも十分配慮したものであり,予算計上を撤回する考えはない。

平成20年度水道事業会計予算に修正動議
         塩野浄水場運転監視業務等委託料の削除を求める

 

 水道局は、水道事業の料金収入の落ち込み、行財政改革の一環、水道技術の伝承が困難との理由から塩野浄水場をはじめとする、水道施設運転監視業務等の民間委託方針を打ち出しており、平成20年度水道予算にその経費1,022万5千円を計上しました。(平成21年1月から実施予定)

 浄水場の運転管理は水道事業の根幹であり、日々の職員の苦労の上に安全な水道水が供給されています。民間委託後に仮に事故が起きた場合には、管理者である市長が全ての責任を負うことになり、その復旧には水道局の職員の役割が必要不可欠になります。しかし、民間委託を進めることによって将来的に浄水場運転管理に精通した職員がいなくなり、須坂市の水道にもかかわらず民間業者にしか浄水場のことがわからなくなってしまう恐れがあります。

入札により数年毎に受託業者が変わることも考えられ、スムースな管理が約束されるかも疑問です。また、費用面についても民間委託することによって必ずしも費用の軽減につながらず、かえって費用の膨張も懸念されるところです。

 更には市民への説明責任が十分果たされているとは言えず、労働組合との協議がないまま一方的に予算計上されていることに対しても、不信感をぬぐいきれません

 以上のことから、浄水場運転監視業務等の委託には問題があり、直営を堅持すべきとの立場から修正動議を提出しました。

 採決の結果はご想像のとおりです。

 修正動議の提案説明全文

平成20年度一般会計歳出予算の概要

                              (単位 千円  %)

 

20年度

19年度

予算額

構成比

前年比較

予算額

構成比

前年比較

人件費

4,359,369

24.67

3.13

4,227,222

23.55

1.12

扶助費

2,298,766

13.01

1.05

2,274,793

12.67

8.80

公債費

2,155,784

12.20

9.53

2,382,876

13.28

1.30

普通建設事業

1,457,107

8.25

19.78

1,816,319

10.11

28.15

物件費

2,464,845

13.95

1.70

2,507,574

13.97

4.02

維持補修費

178,129

1.01

3.24

172,545

0.96

7.87

補助費等

1,394,636

7.89

33.35

1,045,875

5.83

2.76

積立金

30,287

0.17

48.36

58,646

0.33

35.40

投資・出資金

55,181

0.31

6.20

58,831

0.33

7.10

貸付金

1,233,836

6.98

6.01

1,163,940

6.48

0.90

繰出金

2,032,060

11.50

8.93

2,231,379

12.43

3.04

予備費

10,000

0.06

0.00

10,000

0.06

0.00

合計

17,670,000

100.0

1.56

17,950,000

100.0

2.71

 

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