岩田修二の市議会ニュース
2010年4月

沖縄の米軍普天間基地の移設問題が、鳩山連立政権にとって大きな試練となっています。この問題は、前自・公政権時代に沖縄県辺野古沖の海上に新基地を建設し、移転することが日米両国で確認されていました。しかし、政権交代によってその計画が見直されることになり、連立政権の重要な政治課題となっています。

 鳩山首相は就任後の所信表明演説で、「沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆様の思いをしっかりと受け止めながら、真剣に取り組んでまいります」と述べています。しかし、与党3党が、移転先の見直し協議を開始することで合意したものの、首相の強いリーダーシップが発揮されない中、連立政権内は閣僚の不規則発言による迷走を続け、米国からの圧力や、外務省・防衛省などの巻き返しから、連立内閣の方針決定期限とした5月末が目前に迫り、いよいよ大きな山場を迎えています。

 米軍駐留基地問題は、沖縄県だけの問題ではなく日本全体の問題です。沖縄県民の負担を軽減することを合意した連立政権のとるべき道は、沖縄県内移設を条件としない普天間基地の閉鎖・返還を求めることではないでしょうか。

3月定例会の報告

須坂市議会3月定例会は、224日から326日までの31日間開かれました。324日に議長が辞職したことにより、議長選挙を行うために会期が2日間延長されました。

平成22年度一般会計予算、国民健康保険特別会計予算に組替え動議提出

福祉医療費給付金支給対象の拡大

須坂南保育園の単独改築

学校給食センター民営化の中止  等々

組替え動議とは市長が提案した予算案に対し、予算の総額は変えないで内容の変更を求めるものです。

組替え動議の内容は、一般会計で削減を求めるものとして、

@「湯っ蔵んど」修繕料5,000万円 ― 全小中学校の修繕料の2倍の額は高すぎる

A学校給食センター民営化の中止 ― 民営化のみが目的で経費の削減になっているか疑問

B家庭ごみ有料化導入事業に伴う費用 ― 税金の二重取りと思われがち

C保健補導員会事業への負担金の整理統合 ― 国保会計にも同様の負担金

新規・拡大する事業として、

@福祉医療費給付金事業の支給対象の拡大

A家庭ごみ有料化導入に伴う環境政策推進のための基金の創設

B学校給食センター業務の直営堅持

C須坂南保育園の単独改築

D旧登記所跡地を買収、シルバー人材センターと仮称市民活動支援センターの拠点として整備

また、国保特別会計予算に対する組替え動議は、保健補導員会及びそれに関連する団体に対する負担金の整理統合を求めるもので、他の負担金や補助金と同様に事業実績に基づいたものにするべきと提案しました。(提案説明)

結果は、多くの議員の賛成を得ることができずに、否決となりました。

平成22年度一般会計予算の概要(平成21年度予算との比較)  (単位 千円  %)

 

22年度

21年度

予算額

構成比

前年比較

予算額

構成比

前年比較

人件費

4,115,605

21.5

2.2

4,207,663

23.93

3.48

扶助費

3,015,141

15.7

25.2

2,408,323

13.70

4.77

公債費

2,215,683

11.6

1.9

2,174,614

12.37

0.87

普通建設事業

2,010,577

10.5

53.9

1,306,768

7.43

10.32

物件費

2,861,552

14.9

9.5

2,613,041

14.86

6.0

維持補修費

205,850

1.1

18.1

174,231

0.99

2.19

補助費等

1,041,374

5.4

24.4

1,378,310

7.84

1.17

積立金

3,048

0.0

90.1

30,784

0.18

1.64

投資・出資金

42,097

0.2

13.6

48,744

0.28

11.67

貸付金

1,249,696

6.5

0.9

1,238,878

7.05

0.41

繰出金

2,399,377

12.5

20.7

1,988,644

11.31

2.14

予備費

10,000

0.1

0.0

10,000

0.06

0.00

合計

19,170,000

100.0

9.0

17,580,000

100.0

0.51

新規拡大事業の主なもの

・小学生までの福祉医療費給付金支給対象の拡大(小学46年は入院費のみ) 24,700万円

・学校給食センター民間委託  9,524万円    ・観光商品化事業  1,441万円

・私立保育所施設整備補助金  15,977万円    ・地域人材育成事業  3,000万円

・区公会堂耐震診断  943万円    ・仮称須坂市出身在京者懇談会の開催  35万円

・松川霊園造成事業  9,292万円    ・遊休農地解消モデル事業(羊放牧)  92万円

・市営住宅リフォーム事業  9,048万円    農産物販路開拓事業  481万円

・地域医療福祉ネットワーク構築事業  1,457万円    駅前防犯カメラ改修  107万円

岩田修二の一般質問と答弁    要旨

●学校給食センター民営化について(市長答弁)

質問 現在学校給食センターで働いている嘱託・臨時職員は、民営化により今後についての不安を訴えている。臨時・嘱託職員の今後はどうなるのか。

答弁 現在学校給食センターに在籍する嘱託・臨時職員は、本人が希望すれば全員正社員として採用するようになっている。労働条件については、給与面など全体的に見て大きな差はないと考えている。

質問 施設的に非常に劣悪な環境になっていると聞いている。改修計画はあるのか。

答弁 老朽化が進んでいるのは事実だが、現段階で具体的な改修計画はない。

質問 委託料9,523万円の積算根拠は何か。

答弁 事業者の見積額で、内容は人件費、被服衛生費、事務通信費、消耗品費、管理費及び消費税となっている。

 

●消防広域化の方向性について(市長答弁)

質問 消防行政の広域化について議論がすすめられているが、広域化の枠組みである東北信各消防本部の考え方にバラツキが見えている。広域消防の議論は今後どのような方向に向かっていくのか。

答弁 消防広域化研究協議会は、現在の東北信7本部を1つの本部に再編するため議論を進めてきた。しかし、7つの消防本部の考え方、勤務体制、身分などの違いがあり、限られた時間で一元化することが難しい状況であったため、将来的には東北信1本部化をめざすものの、当面できるところから広域化することを確認した。

 

●峰の原地区の水道事業について(水道局長答弁)

質問 峰の原地区には須坂市水道局以外に民間の簡易水道施設が2箇所ある。住民サービスを向上させるためにも須坂市水道への統合に向けた考えはあるか。

答弁 昨年事業者と統合について協議した結果、統合に伴う負担金の発生等経営状況を考慮すれば当面統合は考えていないとのこと。また、緊急時の応援給水について協定を締結したことからも、市としては統合は考えていない。

 

●須坂南保育園の閉園について(市長答弁)

質問 市の方針として須坂南保育園の閉園を決定した主な理由は何か。

答弁 須坂南保育園は老朽化が進み、施設整備は緊急の課題であること、現状の公立保育園では実施が困難な特別保育事業が、民間では保護者ニーズに積極的に対応できる。また、市内には待機児童がいないため、保育園を増やす必要はないこと。などから、新しい保育園の開園に伴い、閉園することを決定した。

質問 須坂南保育園を残してほしいという保護者からの請願も出されているが、市長は保護者の意見をどう受け止めているのか。

答弁 子どもたちをとりまく環境も変化するし、子どもたちへの影響など、保護者の皆さんも不安な気持ちを感じていると思う。そうした不安をできる限り軽減できるよう、新年度において引き継ぎ保育の実施や、みつばち保育園保育士との交流などを随時行っていきたい。

 

福祉医療費給付金条例の一部を改正する条例に修正案

   支給対象を通院まで広げるべき

711で修正案は否決

福祉医療費給付金事業とは、通院、入院医療費の自己負担分を公費で負担する制度で、平成21年度から支給対象年齢を小学校3年生まで拡大され、「子育てしやすい環境を整備する」として、平成21年度拡大事業の目玉となっています。

しかし、事業の内容は近隣町村や、県内他市町村ではより充実した内容で実施されており、更に今年度から支給対象を中学生まで拡大する制度改定が行なわれている自治体が多いことから、多くの議員から更なる対象範囲の拡大を望む意見が出されていました。

今議会に提案された支給対象範囲拡大のための条例改正案の内容は、医療費給付の対象年齢を満12歳(中学校入学前)まで引上げる。ただし、9歳以上12歳までの通院医療費は除くとなっています。

修正案の内容は、9歳以上12歳までの通院医療費についても給付の対象に含める、というものです。担当課の試算では1,750万円ほどの予算が必要とのことですが、平成21年度予算が3月議会で約1,000万円減額されていることや、高学年になれば罹病等の確立が下がることなどを考慮すれば、決して困難なことではないと主張しましたが、残念な結果でした。

 

須坂南保育園の存続と改築を求める請願

総務文教委員会で不採択、本会議でも不採択

本会議で採択を求める討論するも理解を得られず

この請願は、「須坂南保育園を存続する会」から提出されたもので、保護者の皆さんの切実な願いがこめられています。請願では、「民間の事業者がどこに保育園を建設しようとも、私たち須坂南保育園の保護者にとっては、既存の須坂南保育園に私たちの愛する子どもたちを通園させることが、私たちの願いです。」と訴えています。

 総務文教委員会での審査では、須坂市議会で議会改革の一環として初めてのこととなった、請願者の代表から直接の訴えを聞き、それに対する質疑も行われました。また、多くの保護者も委員会の傍聴に参加しましたが、委員会での討論は、採択を主張する委員、趣旨採択を主張する委員、継続審査を主張する委員、不採択を主張する委員があり、採決の結果不採択となりました。

 本会議における賛成討論の内容は、「須坂南保育園の保護者会では、8月に行われた新設民営保育園建設の具体的な説明会の開催を受け、須坂南保育園の「民設民営化」方針について保護者へのアンケートを行いました。その結果回答した保護者の69.8%が、須坂市が進めようとしている須坂南保育園に代わる保育園の民設民営に反対の意思表示をしています。こうした声は、須坂南保育園の保護者の皆さんの切実な思いや願いだけでなく、地域に密着した須坂南保育園をこよなく大切にしている表れではないでしょうか。」と訴えましたが、議会内には、市長のすることは何でも賛成する勢力が多数を占めているため、残念な結果となってしまいました。(採択に賛成する討論)

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